2011 Fiscal Year Research-status Report
日常的コミュニケーションの行動分析に基づく人間関係形成支援ツールのデザインと評価
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23500158
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
武川 直樹 東京電機大学, 情報環境学部, 教授 (20366397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 敦 東京電機大学, 情報環境学部, 助教 (90462530)
井上 智雄 筑波大学, 図書館情報メディア研究科(系), 准教授 (40307666)
湯浅 将英 東京電機大学, 情報環境学部, 助教 (80385492)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ユーザインタフェース / コミュニケーション / 相互行為モデル / 支援システム / 共食 |
Research Abstract |
H23年度は,(1).共食コーパスの作成,(2)統計量分析,(3)会話行動の分析,共食効果の分析を実施した. (1)のコーパス作成では,3名の友人同士3組の実験協力者により,食事なし会話,食事あり会話を行い,合計6本の会話を収録した.収録映像から1組当たり15分,6会話合計180分について,会話アノテーションソフトAnvilを用いて人の行動データ(視線方向,発話内容,食事動作)を詳細に書き起した.また,前年度までに収録したデータについても書き起こしを行い,これを完了させた.このコーパスは今後の研究資産として大変重要な役割を果たすものであり,本年度の大きな成果と考える.また(2)では,収録した会話データの基礎統計量を計測するとともに,聞き手の摂食タイミングに着目した会話場形成の仕組みを調べた.その結果,自らの発話開始を妨害しない箇所で摂食するように調整していることを定量的に明らかにした.(3)では,共食会話における人の発話,摂食行動について定量的な分析を行った.その結果,人は会話の維持進行のため,会話の区切りで適切に応答しており,摂食動作は応答の前後に隣接させて行っていることを明らかにした.さらに,人は,会話の流れを滞らせないよう,他者の応答時,話し手の順番交替時を狙って摂食する傾向が有意に多いことを明らかにした.これは,人が共食会話において個人の営為である摂食行為よりも,他者とのコミュニケーションを優先させる行動をとることを示したものであり,共食のコミュニケーションにおける役割を示したと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度実施計画に掲げた研究項目において最重要課題である共食映像の収録,トランスクリプトを完了できた.また,日常的コミュニケーションの仕組みとその重要性についての分析を進め,基本的なデータを積み上げ,知見を蓄積した.特に,食事行動と発話開始,終了とのかかわりが示されたことから,共食コミュニケーション支援システムの構築に向け,おおむね順調に進展していると評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,共食中のコミュニケーションの分析に基づき,インタラクションモデルの構築を目指す.また人の視線,顔の向き,姿勢を認識し,発話・食事動作をする共食支援エージェントを構築する.エージェントは単に「話す」「食べる」動作をするだけでなく,人とのコミュニケーションを重視しながら摂食を行う必要がある.分析で得られた人の摂食,発話行動データに基づき,エージェントに協調的行動のモデルを組込む.次にエージェントを用いて人との共食会話実験を行う.実験協力者にの心理・生理指標を計測し,システムの評価を実施する.また共食映像対話デモシステムを構築する.なお,共食映像の書き起こしを継続し,統計分析に耐えうるデータ量を得て,成果を対外的に公表する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
会話映像の分析を継続し,共食における人の行動モデルの構築を目指す.人の行動を定量的に解析するため,共食会話のインタラクション行動分析には,映像からの言語・非言語行動の書き起こし(トランスクリプト)作業を継続する.精度のよい書き起こしをするために引き続き熟練者を雇用する.また構築した行動モデルをエージェントに組み込み,人とエージェントの会話コミュニケーション,共食コミュニケーション評価を行う.評価のため実験協力者を採用するために研究費を用いる.さらに今年度は成果の数が増えることが期待でき,学会発表の参加費,出張旅費,論文掲載費に研究費を充当する.海外では,ACM-CHI,国内においては,電子情報通信学会HCS 研究会,HIP 研究会,情報処理学会HCI 研究会,人工知能学会SLUD 研究会,ヒューマンインタフェース学会,顔学会,認知心理学会,社会心理学会などに発表する.
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Research Products
(6 results)