2013 Fiscal Year Research-status Report
空中映像を使った非接触多感覚インタラクションに関する基礎研究
Project/Area Number |
23500161
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Research Institution | Kobe Institute of Computing / Graduate School of Information Technology |
Principal Investigator |
MARKON Sandor 神戸情報大学院大学, システム情報工学研究科(系), 教授 (30434971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑野 満博 神戸情報大学院大学, システム情報工学研究科(系), 准教授 (50434973)
吉田 博哉 神戸情報大学院大学, システム情報工学研究科(系), 講師 (00461153)
大寺 亮 神戸情報大学院大学, システム情報工学研究科(系), 助教 (50590410)
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Keywords | 国際研究者交流 トルコ / 空中映像 / 多感覚インタラクション / 医療情報可視化 / 触覚刺激 / 聴覚刺激 |
Research Abstract |
空中映像との多感覚インタラクションにおいて、空中音響刺激(パラメトリックスピーカーによる「空中音源」)および空中触覚刺激(空気ジェットによる「空中タッチ」)を用いた実験装置を開発し、視覚・聴覚・触覚を同時に刺激する時の相乗効果や注意すべき事項を心理実験により調査した。利用者が空中映像に指先で触れる事を赤外線タッチスクリーン、または赤外線カメラにより感知し、捜査時のフィードバックに空中音源や空中タッチを利用した実験を行い、空気ジェットの噴射時間等の適切な設定を調べた。 多感覚空中映像システムの一つの用途として想定しているアミューズメント(ゲーム等)において、刺激の組み合わせについて幾つかの知見が得られ、HCI研究会にて報告している。これらを踏まえ、臨場感の高いゲーム環境の設計が可能となった。 多感覚インタラクションのもう一つの応用分野として、三次元に分布した複雑な医療情報(CT、MRI等のデータ)の可視化システムを提案している。空中映像により医療情報領域を走査し、計測された情報を空間的に正しい位置で表示するシステムにおいて、空中映像に空中タッチ等を追加し、利用者により自然な感覚で情報の探索を可能とする事を目指している。この場合、触覚によって映像に質感をもたらす事が目的となるが、空気ジェットに変わって、機械的な接触を行う機構を提案し、共同研究者と試作している。本機構は空中映像に触れた指先の位置を検出し、触れた場所の「材質」(個体か空洞か等)に合わせてロボットアームの先端に付けたポインターを差し出し、指先の前に置く。これに触れたら、その場所は個体である事が触覚により感知され、視覚情報と融合した自然な体験が得られる。本研究成果について、国際会議「CME2014」(台湾、2014年6月26~29)にて報告する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
空中映像を医療情報可視化に用いた時に、共同研究者(トルコ・サバンジ大学・オナト准教授)より臨場感の高い多感覚インタラクションを実現する方法として、機械的に稼働するポインターによる触覚フィードバック機構が提案された。この可能性を探るために2014年1月にサバンジ大学へ訪問し、ワークショップ形式で原理確認の実験を行った。その結果、より性能の高い機構を実現するために、日本で別の目的に使っていたロボットアームを用いた実験を企画し、共同研究者を日本に招聘した。これらの実験の成果を発表する最適な場として、2014年6月に台湾で開催される「CME2014 Complex Medical Engineering」学会を選択し、論文を投稿し、受理された。したがって、最終成果の発表は当初の終了時期(2014年3月)より遅れて実施され、終了時期を延期する事になった。 当初予定していない、今回追加となった触覚刺激方法は他の実験等を踏まえ、検討結果として提案されたが、本質的な改善として期待できる成果であると認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
多感覚インタラクションをゲームに使う時、まだ未知な事がたくさんある。視覚の効果を触覚・聴覚で強調すべき場面、またはそれぞれのモーダリティーで異なった情報を伝えるべき場面について、ゲームデベロッパー向けの指針を作成する必要があり、そのための心理実験やサンプルゲームの評価実験等を予定している。 刺激提示指針を基に、神戸電子専門学校のゲーム科の協力を得て、一般ユーザーに評価してもらうゲームを開発し、評価実験を行った上で多感覚刺激の有効性を検証していく。 空中映像を使った医療情報可視化システムの多感覚化において、開発した触覚刺激装置を中心に、視覚情報提示システムとの融合方法を開発する必要がある。少なくても画像データ内の「骨」、「空洞」やその他の組織の素質情報を基に、触覚刺激の提示を制御する必要があり、ここは未完成となっている。 空中映像とセットで使える触覚刺激機構の現在の試作機は大規模なロボットアームで実現されているが、次は小型版の機構を開発し、将来的な普及の可能性を探りたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2014年1月に共同研究者(トルコ・サバンジ大学・オナト准教授)が新しい触覚刺激方式を提案し、サバンジ大学へ訪問・予備実験を行った結果、新方式が有望である事が判明した。その後、3月に共同研究者が来日し、より高度な実験に成功し、成果が得られたため、それを2014年6月に台湾で開催される国際会議で発表する事になった。本方式は当初予定されていた研究内容を拡張した物であり、研究期間を延長してその効果に関する追求・確認・発表を行う必要がでてきた。 2014年6月26~29日・台北で開催される国際会議「CME2014」にて発表を行い、本研究の最新の成果について学会関係者の意見を伺う。それを踏まえ、新しい空中触覚刺激の医療可視化システムにおける役割や可能性を調査・研究し、結果をまとめて本研究の現段階を完了させる予定。 今後は研究成果の産業応用を検証するため、試作した実験装置を用いて医療従事者や医療機器メーカー関係者等と交流し、評価してもらう予定。
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Research Products
(3 results)