2011 Fiscal Year Research-status Report
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23500164
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 恵二 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (10250482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 秀憲 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (60322830)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 意思決定支援 / AHP / 大規模計算 |
Research Abstract |
本研究では,大規模計算の能力を活用し,意思決定手法の活用において,利用者の負担を軽減し,簡易にかつ素早く意思決定を行なうための理論開発を行なう.具体的には,意思決定手法としてAHP(AnalyticHierarchyProcess)を取り上げる.AHPは人間の勘や経験等主観的判断による指標の数値化や,代替案評価の構造,過程の明示ができ,解として代替案の定量的評価を得ることが出来るといった特性を有する.一方,利用における問題としては,評価項目間や,各評価項目における代替案間の全ての一対比較をしているため,評価項目数,代替案数が多いと一対比較数は膨大となるという弱点,すなわち,多数代替案問題がある. 本研究では,この問題点に対するアプローチとして,多数代替案問題を一対比較の順序決定にかかる探索問題と考え,大規模並列計算を使った先読み探索を行うこととした. 平成23年度は上記アプローチを進めるための,解空間を表す木構造の作成範囲を縮小する方法の確立を行った.比較順序を表す探索空間は,木構造を成す.この一対比較の順序と値を考慮した木構造は巨大になるため、作成する木構造の範囲を縮小する必要がある。そこで、本研究では評価項目間、各評価項目における代替案間でトーナメント方式により仮の一位を決定した後に、後述する評価関数に基づく解空間の探索を行うものとする。利用者が一対比較を開始するとともに木構造の作成、枝刈りを並列・分散的に行い、評価項目間、各評価項目における代替案間でトーナメント戦を行っている間の一対比較を基に、適宜作成する木構造の範囲縮小を行うものとした.この方策の理論的な確立と一般化を中心に進めた.上記方策の正当性と効率性を確認するとともに,評価項目数,代替案数の増加に対して,規則性を見いだすとともに,探索アルゴリズムのプロトタイプを構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の取り組む課題として,「前提とする不要あるいは影響しない一対比較が,理論的に存在するのか,また実例としてどの程度比較が削減可能なのか」を設定した.この課題に対して,理論的な検証から削減できるパターンが存在することを証明した.また実例を用いた検証によって,平均で4割削減できること,比較順序を事前にナビゲートできる場合には,7割削減できる場合もあることを確認してきた. 比較順序を表す探索空間は,木構造を成す.この一対比較の順序と値を考慮した木構造は巨大になるため,作成する木構造の範囲を縮小する必要がある.一番良い代替案を求めるためには最低限全ての評価項目,代替案について一度は一対比較の対象にする必要がある.そこで、本研究では評価項目間,各評価項目における代替案間でトーナメント方式により仮の一位を決定した後に,評価関数に基づく解空間の探索を行うものとし,その評価関数の構築を行なった.利用者が一対比較を開始するとともに木構造の作成,枝刈りを並列・分散的に行い,評価項目間,各評価項目における代替案間でトーナメント戦を行っている間の一対比較を基に,適宜作成する木構造の範囲縮小を行うプロトタイプアルゴリズムを構築した.24年度に向けての必要な計算量の見積りについてはクラスター計算機において,1 秒間に列挙できる一対比較パターン数は1ノー ドで約1000パターンとなり,10000ノード使用する場合、1秒以内に必要な木構造を作成できる見込みが得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
【1】一対比較の意思決定へ及ぼす効果に基づく評価関数の構築解空間を表す木構造の枝刈りが完了していることを前提に,一対比較する度に次の比較候補について,意思決定への効果を定量的に表現出来る評価関数の構築が必要である.H23年度に構築した評価関数のプロトタイプから,更なる改善が出来ることが示唆された.よって,評価項目数,代替案数の増加に対する規則性を考慮することによって,より望ましい性質を持った評価関数の構築を行い,その性能評価を行なう.【2】評価関数に基づく解空間探索方法の確立上記評価関数に基づき,より効果的,効率的な一対比較を利用者へ示すための解空間の探索方法の確立が必要である.解空間の探索を並列・分散的に行う必要があるが,それでもリアルタイム性を保つためには解空間を全探索することはできないと考えられる.そこで仮の第一位代替案に対して,その代替案と敗者復活があり得る代替案との一対比較を根とする部分木を優先的に探索する手法を具現化し,本アプローチの有効性を検証していく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
【設備備品費】現有するシステムではハードディスクが不足することから,計算履歴を残して,探索方法の検証・分析を行うためのNASの購入を順次行う.【消耗品】 H23年度の残額を含めて意思決定支援および並列アルゴリズムに関する関連研究の調査を進めるために,情報関連図書の購入を10冊程度行う.また順次,研究成果を国内外のジャーナルペーパに掲載していくための,論文別吊り代を計上する.【国内旅費】 国内学会での資料収集および成果発表として,情報処理学会のFITおよび年2回開催されるOR学会の全国大会へ参加するための旅費(各1名)を計上する.【外国旅費】 ORに関する最大の国際会議であるIFORSに投稿,発表を行うための旅費(1名分)を計上する. 【謝金】データ処理およびプログラム開発補助として,修士学生3名に協力を依頼する.このための謝金を計上する.【その他】 H25年度に向けた予備調査として,クラウドシステムの調査利用を開始する.このための利用経費を計上する.また国内・国際学会への参加費用を計上する.
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Research Products
(1 results)