2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500164
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 恵二 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (10250482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 秀憲 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (60322830)
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Keywords | AHP |
Research Abstract |
本研究では,大規模計算の能力を活用し,意思決定手法の活用において,利用者の負担を軽減し,簡易にかつ素早く意思決定を行なうための理論開発を行なう.具体的には,意思決定手法としてAHP(AnalyticHierarchyProcess)を取り上げる.AHPは人間の勘や経験等主観的判断による指標の数値化や,代替案評価の構造,過程の明示ができ,解として代替案の定量的評価を得ることが出来るといった特性を有する.一方,利用における問題としては,評価項目間や,各評価項目における代替案間の全ての一対比較をしているため,評価項目数,代替案数が多いと一対比較数は膨大となるという弱点,すなわち,多数代替案問題がある.本研究では,この問題点に対するアプローチとして,多数代替案問題を一対比較の順序決定にかかる探索問題と考え,大規模並列計算を使った先読み探索を行うこととした. すなわち(1)解空間を表す木構造の枝刈りが完了していることを前提に,一対比較する度に次の比較候補について,意思決定への効果を定量的に表現出来る評価関数の構築が必要である.H23年度に構築した評価関数のプロトタイプから,更なる改善が出来ることが示唆され,後述する集団AHP向け本手法の適用効果についても検討を行った. (2)H25年度のプロトタイプ構築に向けた基本問題の検討として,マンション選択を事例に,本手法に実用上どのような拡張が必要か検討を行うために,小規模な基本問題を形式化するとともに,適用手法について検討を行った.この結果,価格等の数値データの取り扱いや,ステークホルダーが複数人になる,すなわち集団AHPの方法論を取り入れた探索を行う必要があることを明らかにするとともに,その集団AHP上での探索効果について,初期的な検討を行ない,さらなる工夫が必要であることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,年度当初の計画であった探索の効率化に向けた評価関数の構築および効率的選択示唆のための探索順序について検討を行い,成果を得た.加えて次年度のプロトタイプ構築に向けた基礎検討として,マンション購入問題を適用領域として,その問題形式化と必要な拡張手法を洗い出した.よって当初予定通りに進めるとともに,先取りした進展をはかることが出来た.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は,プロトタイプ構築をめざし,その具体的事例として,マンション選択問題を扱えるようにすることを目標とする.マンション選択問題では,価格等の数値データの取り扱いや,候補Aと候補Bを並べて比較するというよりは,候補Aを見ながら評価し,そのあとで候補Bを評価する等の,評価の非同期性が起こること等が明らかとなり,これまでの探索手法だけでは対応できず,更なる拡張について検討する必要があり,これに取り組む.具体的には非同時評価においても,仮の選択をバックグラウンドで進める等の方法について,その効果を検証する.また,ステークホルダーがマンション選択のような重要な購入では複数人になることから,集団AHPの方法論が適切となる.よって集団AHPに対応した探索方法とその意思決定の集約方法について検討を行う.前年度の検討から,ステークホルダーの選択傾向の違いを利用して,探索区間を縮小できる可能性が示されたことから,さらなる検討を継続する. 以上の方法論の検討を行ない,プロトタイプシステムの構築を進め,成果の好評を進める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
集団AHPに関する文献調査を行うための費用を計上する.データ処理,プログラム開発補助として,修士学生3名等に協力を依頼する.このための謝金を計上する.計算リソースとしてクラウドシステムの利用経費を計上する. なお,未使用額の発生は,成果発表の計画にいれていた国際会議が,時期がずれて用務上参加できなくなったためであり,今年度は,ジャーナル論文の発表とあわせて,対外発表への費用に活用して行く.
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