2012 Fiscal Year Research-status Report
対応する色再現のための光源色推定と画像への順応度評価の研究
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23500223
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
田島 譲二 名古屋市立大学, その他の研究科, 教授 (50381900)
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Keywords | 照明色推定 / カメラ特性補正 / 色順応 |
Research Abstract |
本研究では、二色性反射モデルを利用してカラー画像をセンサとして利用し、光源色を推定し、そのカラー画像の色補正を行なうことを目指している。本来、二色性反射モデルが成り立つ一色の物体では、その色は色度図上で一直線上に並び、異なる色の複数の物体から得られる直線は一点で交わるはずである。そしてそれは、プラスティック物体を分光放射輝度計で測色した場合には、かなり精密に成り立っている。しかし、実際の画像を用いたものでは、一眼レフレベルの品質の高いデジタルカメラによっても、昼光色の照明の場合はほぼ良好であるが、電灯色の照明では、かなりの誤差を生じている。 この問題を解決するためには、本来の照明光源の情報と、画像から得られる色情報を精密に解析する必要がある。まず精密に照明光源の色を知るために、標準白板の較正を依頼しデータを得た。また、カラー画像を観察しながら、確実に一色の物体画像の部分をセグメントするプログラムを作成し、それぞれのセグメント上のデータを収集し、色度の分布の観察を行なった。そのデータでは、自動セグメンテーションのデータと異なり、一つの物体上の色は、理論に従って色度図上で一直線に近く分布することが多い。それは、昼光色の照明の場合は、顕著である。しかし、むしろ正確に照明色を得たい電灯色の場合には、大きくずれた奇妙な分布をする色があることが分かった。この実験には、三種類の高品質なデジタルカメラを使用しているが、その傾向は、どのカメラで撮影された画像にも現れる一般的な絵作りの中で得られることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光源色の推定に関しては、問題点が絞られつつある。推定がうまくいかない場合の原因はデジタルカメラの入力特性によることが分かってきた。これは、入力特性を補正することを前提とすれば、精度の高い推定ができる場合は、入力特性の補正が適切であることを示している。 本来、本研究では、画像からの光源色推定が中心テーマであったが、この画像中の物体色の分布を利用したデジタルカメラの入力特性の補正方法の開発も、新しい研究テーマとして浮上した。カメラ特性の補正は、コンピュータビジョンにおける画像解析では大変重要なテーマであり、そのような研究テーマへの発展は、大きな進捗であると考えている。 ただその分、もう一つの本研究の目標である、画像への色順応度評価の研究は、今のところ実験環境の整備はしたが、工数の関係で研究としての優先度は下がっている。
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Strategy for Future Research Activity |
コンピュータビジョンの研究では、カラー画像特有の性質を利用して画像の解析を行なうことは、まだ広範には行なわれてはいない。それは、カメラが画像を鑑賞するのに望ましい絵作りをしており、測定器としての役割を担えないという事実によっている部分が大きい。そのため、「カラー画像からのカメラ入力特性の推定と補正」は大変重要なターゲットとなる。 今後は。得られたカラー画像の色の分布を詳細に調べるための種々のプログラムの開発を行ない、カメラの入力特性を解析する。そして得られた結果から、その入力特性を補正する手法を開発する。それには、補正の“最適化”のための手法の開発が必要であり、多くの分野で利用されている“エネルギー最小化”のような手法を適用するのが適当と考えられる。筆者は、本来その分野の経験は不足しているが、現在、コンピュータビジョンやパターン認識の分野でも種々の“最適化”の理論が提案されており、それらの手法を調査し、この問題に応用する方法を検討・試行しながら研究を進めて行く予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度でもあり、備品に関してはほぼ整備が終わっているが、デジカメの絵作りを調べるために最新の高品質のカメラ(10万円程度)の入手を検討する。また、上記に述べたように、カメラ入力特性の補正方法の開発のために、最適化のための最新の手法を調査する。幸い、来年度は、この関連の分野の研究集会が多く開かれるので、研究費の多くの部分(30万円程度)を、情報収集のための参加費及び旅費に利用する計画である。また、得られた研究成果の発表を行なうために10万円程度を予定する。
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