2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500233
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
西浦 敬信 立命館大学, 情報理工学部, 准教授 (70343275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南條 浩輝 龍谷大学, 理工学部, 助教 (50388162)
森勢 将雅 山梨大学, 工学部, テニュアトラック特別助教 (60510013)
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Keywords | 音環境の理解 / 危機の検知 / 異常音の検出 / 叫び声の検出 / 警報音の設計 / 安全安心 |
Research Abstract |
本研究では音環境における叫び声や異常音などの危機情報を検知し周囲に報知するシステムの構築を目指して,科学研究費補助金交付期間内に次の4つの項目,1. 音環境における叫び声や異常音など危機情報の検知,2. 検知した危機情報の構造化と理解,3. 危機情報を報知するための警報音の設計,4. 上記を統合した危機情報の検知・警報システムの構築,について重点的に検討を行う. 平成24年度は上記項目1.「音環境における叫び声や異常音など危機情報の検知」に対して「Rahmonic比を用いた叫び声の検出」,上記項目2.「検知した危機情報の構造化と理解」に対して「マルチステージ環境音識別」の2研究テーマを重点的に推進して,危機情報の検知・理解を試みた.具体的には,危機情報の中でも叫び声は「声」であるため平静音声との識別が困難である.そこで,平静音声と比較して叫び声には基本周波数の1/2倍の周波数を表すRahmonicが顕著に現れるという特徴を初めて発見し,Rahmonicを積極的に活用することで、平静音声との識別だけでなく音環境における叫び声の高精度な検出に成功した.さらに検知した危機情報の理解するためには,危機情報の構造化が必要不可欠である.そこで,検知した危機情報を「日常音」「非日常音」「危険音」の3つに識別し,その後詳細に危機情報を理解する「マルチステージ環境音識別法による危機情報の構造化・理解」を検討した.この手法では第1ステージにて高精度かつ高速に「日常音」「非日常音」「危険音」の3つに危機情報を分類し,危険音と分類された場合は第2ステージにて危険音をさらに詳細に分析し,危機情報の理解を行う.評価実験の結果,90%以上の精度で日常生活環境に含まれる危機情報を検出することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた平成24年度の研究実施項目である「音環境における叫び声や異常音など危機情報の検知」に対して「Rahmonic比を用いた叫び声の検出」,また「検知した危機情報の構造化と理解」に対して「マルチステージ環境音識別」の2研究テーマを重点的に推進して,危機情報の検知・理解を試みた. 「音環境における叫び声や異常音など危機情報の検知」の実施に関しては,特に危機情報の中でも叫び声は「声」であるため平静音声との識別が困難であるが,平静音声と比較して叫び声には基本周波数の1/2倍の周波数を表すRahmonicが顕著に現れるという特徴を初めて発見し,Rahmonicを積極的に活用することで,平静音声との識別だけでなく音環境における叫び声の高精度な検出に成功した. 「検知した危機情報の構造化と理解」の実施に関しては,検知した危機情報を「日常音」「非日常音」「危険音」の3つに識別し,その後詳細に危機情報を理解する「マルチステージ環境音識別法による危機情報の構造化・理解」を検討した.この手法では第1ステージにて高精度かつ高速に「日常音」「非日常音」「危険音」の3つに危機情報を分類し,危険音と分類された場合は第2ステージにて危険音をさらに詳細に分析し,危機情報の理解を行う.評価実験の結果,90%以上の精度で日常生活環境に含まれる危機情報を検出することに成功した. 最終年度に向けて「危機情報を報知するための警報音の設計」に関しても,すでに報知・警報音の基礎的検討を実施しており,「危機情報の検知・警報システムの構築」に関してもすでに試作を始めている段階である。 上記の理由により,当初研究計画に対しておおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では音環境における叫び声や異常音などの危機情報を検知し周囲に報知するシステムの構築を目指して,科学研究費補助金交付期間内に次の4つの項目,1.音環境における叫び声や異常音など危機情報の検知,2.検知した危機情報の構造化と理解,3.危機情報を報知するための警報音の設計,4.上記を統合した危機情報の検知・警報システムの構築,について重点的に検討を行っている. 当初計画どおり平成24年度の研究成果として研究項目1,2に対して重点的に推進し,研究項目3,4に対して基礎的検討を行った.今後の推進方策として,当初計画どおり研究項目3,4を重点的に遂行する計画である.また,2012年度の未使用額に関しては2012年度末に投稿した学術雑誌論文の掲載料等が2013年度に請求されるため、学術雑誌論文掲載料として2013年度に執行する計画であり,2013年度助成金とあわせて適正かつ計画的に執行する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では音環境における叫び声や異常音などの危機情報を検知し周囲に報知するシステムの構築を目指して,科学研究費補助金交付期間内に次の4つの項目,1.音環境における叫び声や異常音など危機情報の検知,2.検知した危機情報の構造化と理解,3.危機情報 を報知するための警報音の設計,4.上記を統合した危機情報の検知・警報システムの構築,について重点的に検討を行っている. 次年度の研究費の使用計画としては,平成24年度の残額分を研究項目1,2における平成24年度研究成果の対外発表費として執行し,平成25年度に請求する研究費は,上記研究項目3,4の研究を遂行するために執行する計画である. 具体的には,平成25年度の研究実施項目である報知・警報音の設計,および危機情報の検知・警報システムの構築のための研究開発費として執行する.特に報知・警報音の設計に関して,被験者の雇用が必要不可欠となるため,警報音の設計のための被験者雇用費と しても研究費の執行を計画している.さらに最終年度として多数の研究成果の創出が期待されるため,研究成果の対外発表のための旅費や論文掲載料としての執行も計画している. 本研究は危機の警報のみならず,様々な状況を音で報知する枠組みを提案することで,社会基盤技術として非常に有意義なものになると期待している.
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Research Products
(15 results)