2012 Fiscal Year Research-status Report
痛みなどの症状をオノマトペで表す人の特徴を利用した問診支援システムの開発
Project/Area Number |
23500255
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
坂本 真樹 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (80302826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 兼敏 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (10346637)
大内 潤子 北海道大学, 大学院保健学研究院, 助教 (00571085)
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Keywords | 感性情報学 / ソフトウェア / 言語学 / 認知科学 / 医療 |
Research Abstract |
本研究の目的は,日本人が痛みなどの症状を「ずきずき」「がんがん」といったオノマトペ(擬音語擬態語の総称)で表すという特徴を利用した問診支援システムの開発である.交付申請時に平成24年度までに実施予定だった以下の全てを順調に実施している. 平成23年度中に実施したこと:文献調査により医療現場で有効な感性評価尺度候補を選定した.次に,1により収集した感性評価尺度候補のうち,実際に医療現場で有効なものを選定するため,医師や看護師などの医療従事者にアンケート調査を行った.調査結果を解析し,問診・診断支援ツールに採用する感性評価尺度を決定した.その後.被験者に,病気の様々な症状を表すために用いられるオノマトペを提示し,各オノマトペが表す症状を,選定された感性評価尺度ごとに評価してもらう被験者実験を行った.各オノマトペ表現を構成する各音と評価が新しく選定された感性評価尺度に与える影響を定量化し,オノマトペ全体が表す情報を予測評価できるようにした. 平成24年度中に実施したこと:患者が痛みなどの症状を表すために用いたオノマトペ表現のもつ情報を,選定した感性評価尺度で定量化し,日本の医療現場での問診支援を行えるシステムを開発した.また,感性評価尺度を多言語化し、日本人が海外の病院を受診した際,日本人が自分の症状を日本語のオノマトペで入力すると,症状が評価尺度ごとに定量化して示され,「どのような痛みか」といった外国語では伝えにくい微妙な症状を,外国人医師などに伝えられるシステムを開発した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度中の研究実績として,感性評価尺度を多言語化し、日本人が海外の病院を受診した際,日本人が自分の症状を日本語のオノマトペで入力すると,症状が評価尺度ごとに定量化して示され,「どのような痛みか」といった外国語では伝えにくい微妙な症状を,外国人医師などに伝えられるシステムを開発した.この成果を,System Construction Supporting Communication with Foreign Doctors Using Onomatopoeia Expressing Painsというタイトルで,the 6th International Conference of Soft Computing and Intelligent Systems (SCIS2012)で発表したところ,Best Application Awardを受賞した.したがって,研究2年目で当初の計画以上に成功していると評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度である平成25年度は,以下のことを行う. 平成24年度までに作成した問診支援システムのアルゴリズムを精緻化し,システムのインタフェース画面もより見やすいものに改良する.その後,研究室内でシステムを改良し,日本国内用問診・診断支援システムを,実際に医師に使用してもらい,問題点や要望などのフィードバックを受けて,システムの改善を行う.また,平成24年度に作成した海外用問診支援システムで出力される感性評価結果を,実際に外国人医師に提示し,どのような症状か理解可能かどうかなど確認する.必要に応じて,システムの改善などを行う.フィードバックを受けて,システムの改善を行う.最終的に,タッチパネル上に実装するなど実際の使用場面を想定したものにする.さらに,症状を可視化することによる,当初想定した以外の効果について検討を行い,今後の応用の可能性を探る.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度使用可能である約327万円の使用計画は以下のとおりである. 1.医療現場でのシステムのヒアリングなど調査費:100万円 2.システムを改善するための実験謝金など:20万円 3.タッチパネルなどへの実装費:200万円 4.システムの今後の応用についての資料調査費:7万円
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Research Products
(4 results)