2013 Fiscal Year Annual Research Report
ロジスティックモデルに基づく感覚・知覚実験法の研究
Project/Area Number |
23500257
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
降旗 建治 信州大学, 工学部, 非常勤講師 (90021013)
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Keywords | ロジスティックモデル / 聴覚障害者 / 会話器システム / 単語了解度 / 頭蓋内圧 / 低周波マイクロホン / 弾性率 |
Research Abstract |
今年度は、①心理的側面からロジスティックモデルを適用した「聴覚障害者が聞きやすいと感じ、最良の音声明瞭度が得られる会話器システム」の製品化、および②生理的側面からロジスティックモデルを適用した「非侵襲的頭蓋内圧推定法」の探索的臨床試験を実施している。 ①聴覚障害者の協力を得て、最も聞きやすいと感じるイヤホン(各種補聴器を含む10種類以上の代表的なイヤホン)を明瞭度試験結果から選定した。その結果、単語了解度が98%前後得られるイヤホンは、エムケー電子株式会社の耳に密接しない「みみもとホン」であることがわかった。このイヤホン特性は、開発したプローブマイクロホンシステムにより被験者の鼓膜位置で測定した。その結果から、この高音域周波数特性は、個人個人の耳介形状や外耳道形状の影響が大きく現れ、より自然な会話聴取が可能であることが分かった。また、マイクロホンユニットは分離して話者の近くに設定できるように工夫した。提案した会話器システムは、エムケー電子株式会社から「みみもとホンクリア(ES-700GU)」として製品化に成功した。 ②提案した非侵襲的頭蓋内圧(ICP)監視装置は、低周波マイクロホンで頸動脈と耳から心臓の拍動音を測定する事でICP値を測定する装置であり、患者への負担も殆どなく、ポータブルでいつでも、どこでも測れ、救急医療ニーズに合致した検査機器である。容積が一定に保たれている頭蓋骨内の脳内部質は、心臓から供給される血流により体積の微少変化により、頭蓋内圧の微少な圧力変化が生じる。この脳内部質が受ける体積変化と圧力変化の比を弾性率として求めると、弾性率は頭蓋内の静圧であるICPにより変化する。この従来の知見に基づくロジスティックモデルを適用した「非侵襲的頭蓋内圧推定法」は、探査的臨床試験により検証している最中である。
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