2013 Fiscal Year Research-status Report
正倉院御物のベクター画像データベース作成と日本人心理に与える影響
Project/Area Number |
23500259
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
藤野 千代 奈良女子大学, 社会連携センター, 特任教授 (20403321)
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Keywords | データベース / 天平文様 |
Research Abstract |
(1)正倉院御物に描かれた文様のベクター画像化 新規に18点を作成(申請時は35点と設定。)。(2)デザインの嗜好性調査書を作成 : 正倉院デザインは72点とし、それぞれのデザインに対して、申請時での想定よりも20%増程度のパターン配列や色彩を大きく異ならせたものを作成しアンケート冊子にまとめた。アンケート対象者(回収者)は800名を想定としている。また、冊子は完全入稿の形式まで当方にて作成したため、アンケート用の冊子としてのみではなく、広く一般の方に画集イメージにて天平文様のデザインを楽しんでもらう内容となっている。アンケート項目は、各デザイン画をモノトーンから現存する宝物に近い彩色、現代の豊富な色調での記述したもの、パターン文様の一部を抜き出したものなど、色調のみだけではなく、全体・細部といった視点を変えての画を用意することで、年代別嗜好性や、どの程度の解像度より緻密さと感じるか、あるいは日本的・西洋的・中国的といった個人の感覚を大別することができる内容とした。 (3)天平文様画像データベースの活用として、本学理学部の研究者の研究成果に対する商品パッケージのデザインや、本学近隣商店街からの要望に応じて、正倉院展時期に使用する抽選器等への適用、金沢極薄布を使用したアパレル製品へのデザイン適用を行った。(4)研究成果の積極的PR : <1>取材による研究成果公開(特許ニュース H25.9.26、月刊大和路ならら H25.10月号、読売新聞奈良版掲載 H25.11.3、朝日新聞近畿版夕刊一面トップ記事掲載 H25.12.10、朝日新聞全国版朝刊経済面掲載 H25.12.25 ) <4> ホームページに挙げている文様画像の更新。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は新規天平文様のデータ化を35点実施予定であったが、18点にとどまった。これはデザイン嗜好性アンケートの充実化に注力した結果であり、800名という大規模アンケートの実施はこの機会にしかできないため、優先度を変更した。さらに、天平文様として金銅製品などは1点のサイズが小さく、文様としてカウントすれば上記数値は簡単にクリアできるが、あくまでも刺繍・織物・木工細工といった緻密なものを優先させているため、ペースが上がらないことも理由の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
800名をターゲットとする大規模嗜好アンケートの配布を平成26年4月より順次行っている。回収設定は6月30日としているが、回答に非常に時間のかかる詳細なアンケート形式であり、通行人に路上で質問をするといった形で行うことができない。 KADOKAWA発行の「毎日が発見(H26年6月号 発行部数約85000)」にアンケート募集記事を掲載することで800人をクリアする。 また、アンケート集計を進めることで、人の感性の分岐点(緻密さの感じる分岐部)や文様を日本的、西洋的、中国的と判断する基準、年齢による嗜好を明確にし、通常のデザイン戦略データとしても活用できるよう分析を進める。分析で人手が必要な場合はアルバイトを雇用することで遅延なく進めさせる。 さらに、文様の電子データ化は引き続き実施するものとする。
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Research Products
(4 results)