2012 Fiscal Year Research-status Report
下肢の運動錯覚を活用した片麻痺歩行の疑似体験手法とその教育利用
Project/Area Number |
23500265
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
上杉 繁 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (80350461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉地 雅浩 藍野大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (70388700)
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Keywords | 片麻痺歩行 / 擬似体験 / 腱振動刺激 / 運動錯覚 / 反射運動 / 教育教材 / 体験学習 |
Research Abstract |
平成24年度においては,片麻痺歩行体験のアイデア検証のために前年度に製作した実験装置を踏まえ,被験者実験を想定した実験システムの構築,ならびに実験のデザインとその実施に取り組んだ. まずは,膝関節部において,腱振動刺激法により運動錯覚・反射運動を生じさせた際の歩行への影響を調査するために,多数の被験者を対象とすることを踏まえ,耐久性やユーザビリティ,可搬性を考慮した実験システムの構築に取り組んだ.そのため,机上設置型のコンピュータから,組み込み型の小型コンピュータを利用することにし,長く煩雑な配線を簡略化することで断線のリスクを低減し,被験者においても付け外しが容易で負担の少ない装着を実現した. そして,被験者実験においては,腱振動刺激の有無による,下肢の持ち上げ高さの違いを比較するリーチング実験と,平地歩行時における下肢動作の違いを調べる歩行実験を行った.なお,下肢動作は,装置に組み込んだ加速度センサと足裏圧力センサ,関節角度センサより取得し,合わせて実験環境に設置したモーションキャプチャシステムを利用した.およそ20名の被験者を対象に実験を行い,腱振動刺激時における膝関節の伸展傾向が観察された. さらに,振動・負荷のタイミングや振動刺激箇所の違いによる歩行への影響を調査するため,運動錯覚・反射運動が生じうる様々な筋に対して振動刺激を与えることが可能な小型の腱振動刺激装置,膝・足関節部において伸展傾向を強めるために負荷を付与する負荷装置,歩行体験中の腰・下肢・足裏の状況を計測するセンサからなる実験システムも開発した.そして,こうした運動錯覚・反射運動・負荷付与を組み合わせることによる片麻痺歩行体験のデザイン手法に関して,国際会議(HUMASCEND 2012)にて発表も行った. また,平成25年度に予定しているワークショップに関し,実施可能な機関について調査も行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
片麻痺歩行の体験デザインという本研究においては,①提案手法の検証,②実験システムの開発・評価,③利用方法の提案という3段階に課題を分けて,各年度にそれぞれの課題に取り組むことを基本方針として進めてきた.平成23年度には①の課題をほぼ完了しており,平成24年度においては②の課題に取り組んだ.多数の被験者実験を実施することを想定して,耐久性やユーザビリティを考慮した実験システムを構築したこと,20名程度の被験者実験も既に実施し,データ解析にも取り組んでいること,さらにはこれまでの成果について国際会議で発表したことから,おおむね計画通りに進んでいるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に構築した実験システムを用いて,振動刺激・負荷付与のタイミングや,振動刺激箇所の違いによる歩行への影響について引き続き調査を行い,片麻痺歩行の体験として効果的な,運動錯覚・反射運動・負荷付与を組み合わせる条件について実験的に調べる.それと並行して,この実験システムを活用した歩行体験に関するワークショップを考案・実施し,体験ツールとしての問題点を洗い出すとともにその改善に取り組み,既存装具と比較した教育的な効果や,運用の問題点を踏まえ,教育向けの体験プログラムの実施方法を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に構築した実験システムを活用した実験や,歩行体験ワークショップにおいて,消耗した部品の交換費用,体験ワークショップによって見出された装置の問題点改善に必要な費用,体験ワークショップを行う際の各種教材開発における費用として,材料・加工費,機械要素部品費,電子部品費を計上している.その他に,実験の被験者への謝金ならびに,研究分担者との打ち合わせ,研究成果発表,ワークショップのための旅費として主に使用する.
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Research Products
(2 results)