2012 Fiscal Year Research-status Report
明るさ知覚の反応拡散モデル:ハーマングリッド錯視のチューリングシナリオ的理解
Project/Area Number |
23500278
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
野村 厚志 山口大学, 教育学部, 教授 (40264973)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 耕一 山口大学, 大学教育機構, 講師 (50452636)
水上 嘉樹 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (60322252)
|
Keywords | 自己組織化 / ソフトコンピューティング / 認知科学 / 画像工学 / パターン形成 |
Research Abstract |
濃淡画像の2値化表現である画像のハーフトーニングについて、反応拡散方程式によるチューリングパターンを用いたアルゴリズムを提案した。 まずSchnakenberg(1979)タイプの2変数反応拡散方程式を考える。この方程式は2つの変数からなり、2つの拡散係数、3つのパラメータを有する。既に先行研究より、2つの拡散係数のうちの一方を他方より十分大きくとることにより、チューリングパターンが形成されることが知られていた。そこで、Schnakenbergタイプの反応拡散方程式の2変数について、それらの平衡状態に微小なノイズを加え、さらに一つのパラメータをいくつかの値に設定することで、1次元空間における数値計算を行った。その結果として、チューリングパターンの波長が様々に変化することを見出した。すなわち、そのパラメータを空間的に変化させることで、チューリングパターンの波長を空間的に変調できることが分かった。 以上の予備研究から、濃淡画像の明るさ分布を用いてそのパラメータを変調し、反応拡散方程式をチューリング条件下において数値計算することで、画像のハーフトーニングを行うアルゴリズムを提案した。提案アルゴリズムを実画像に対して適用し、他のハーフトーニングアルゴリズム:誤差拡散法、パターンディザリング法による結果と定性的に比較した(人間の目による印象によって比較した)。その結果、誤差拡散法には及ばないものの、パターンディザリング法よりも元の濃淡画像に近い印象を受けた。さらに、提案アルゴリズムが収束することを確認した。 以上の結果より、今後の課題として、ハーフトーニングの結果を定量的に評価する方法を検討し、さらに、パラメータの与え方の検討が必要であることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、明るさ知覚におけるコントラスト効果:マッハバンド効果やコーンスイート錯視などの現象を説明する数理モデルを構築することも課題の一つとしていたが、その課題については取りかかりが遅れている。 そのため、全体の達成度としてはやや遅れていると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究内容と今後の課題について、非線形科学、実験心理学・生体工学、情報科学らの研究者らによるレビューを受ける。そのうえで、錯視現象を数理モデル化するための方法について再検討を行いたい。また、画像のハーフトーニングのアルゴリズムについてもさらに発展させ、既によく知られている他のアルゴリズムと定量的に比較することを行いたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度が最終年度となるため、これまでの研究成果と関連する研究を集めた研究集会を計画している。次年度の研究費は、主にその研究集会を開催するため、及び3年間の研究のまとめに使用したいと計画している。
|
Research Products
(1 results)