2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500279
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高木 英行 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 准教授 (50274543)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 対話型進化論的計算 / 探索の高速化 / 対比較ベースの差分進化 / awareness |
Research Abstract |
H23年度は2つの取組計画に基づいて実施した.【取組み1(H23年度~H24年度)】 ECの高速化と差分進化導入によるIEC技術の高度化と,対話型差分進化(IDE)用のユーザ疲労軽減手法の確立.【取組み2(H23年度後半~H24年度)】 IDEによる人工内耳フィッティングシステムの開発,福岡大学医学部の人工内耳フィッティング実験への提供,見返りに得られるIDEデータの解析と,その結果に基づく聴覚上の説明仮説モデルの構築.取組み1では,(1) ECの適応度景観を単純な関数で近似して大域的最適解近傍を推定して高速化に利用する手法において,次元毎に近似をした後に合成して大域的最適解近傍を推定する手法(n元の連立方程式を解く代わりに1元方程式を解くオーダーで高速化が可能)を確認し,性能劣化がほとんどなくCPU時間が1/3~1/2に短縮できることを確認した.有用な実用上の成果である.(2) ECの適応度景観を周波数分析し,主成分周波数のみをフィルタリングすることで,適応度景観を正弦波で近似して大域的最適解近傍を推定して高速化に利用する手法を提案した.EC探索を周波数の観点から取り組む研究は斬新であり,独自性が高い.(3) 上記(2)の手法は拡張し,大局的最適解だけでなく局所的最適解も得ることができるニッチ手法を提案した.(4) 現在,ECの適応度景観を別次元に射影することで高速化が実現できないかを取り組んでいる.(5) 提案した対比較ベースの対話型差分進化の高速化2手法(重心点を考慮した手法と世代間移動ベクトルを利用する手法)を提案し,評価した.取組み2では,H23年度に提案する対比較ベースの対話型差分進化を用いた人工内耳フィッティングシステムを作成した.H24年6月を目処に被験者実験を実施中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【取組み1(H23年度~H24年度)】では,ECの高速化と差分進化導入によるIEC技術の高度化と,対話型差分進化(IDE)用のユーザ疲労軽減手法の確立を計画に掲げた.研究実績の概要に記載したように,両者とも計画通り進捗し,研究発表で示す成果が得られている.またこれらの内容は,H24年度に学術雑誌に投稿予定である.【取組み2(H23年度後半~H24年度)】は,IDEによる人工内耳フィッティングシステムの開発までがH23年度後半の予定で,計画通りに達成できた.H24年度に入って既に福岡大学医学部で人工内耳フィッティング実験を行っており,H24年度でのデータ解析に入れる見込みである.
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Strategy for Future Research Activity |
計画に基づき,第1,第2の取組に加え,H24年度後半から第3取組を開始する. 【取組み1:IEC技術の高度化】は,(1) ECの適応度景観を別次元に射影することで高速化が実現できないかを, support vector regressionからの取り組みで何らかの解答を得られないか,どの程度のことができるかを明らかにする.(2) 多峰性のECの適応度景観を,単純な景観の合成と考え,分離できないかを検討する.(3) 提案した対比較ベースの対話型差分進化(IDE)に提案の高速化手法を組み合わせたシステムをIDEユーザ疲労が大きい時系列タスクを応用例にしてユーザ疲労軽減の効果の主観評価実験を行う.上記(1)(2)は共にこれまでの取組がない,新しいチャレンジである.また,この関連のH23年度成果を学術論文誌に投稿する. 【取組み2:聴覚心理・生理分野のための計算知能技術確立】は,H23年度に構築したシステムを用いた被験者実験データを福岡大学医学部から得てデータ解析する.解析結果からこれまでの人工内耳の常識では説明できない仏チームのIECフィッティング結果を説明する新しい聴覚系の説明仮説を構築する.新しい知見を見つけ,それを説明する仮説モデルを構築することはかなりのチャレンジな取組みである.この仮説モデルが構築できない場合でも,その基となるフィッティングデータの解析結果は少なくとも公表できるようにする. 【取組み3:人間の評価特性のモデリング】は,H24年度後半から,IECシステムとユーザのインタラクションから構造化NN-FSモデルを用いてユーザの評価特性モデルを学習し,構造解析から評価特性モデルを得る.H25年度ではこのモデル内部の隠れた上位概念・説明変数を探し出す枠組みを確立することでawareメカニズム構築をするので,H24年度はその準備にあたる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
取組み1では,提案手法(対比較ベースの対話型差分進化+差分進化の高速化)と従来法の主観評価実験を行う.この主観評価実験では,ユーザインタフェースが疲労評価に大きな影響を与えるので,タッチパネル式のノートPCで実験システムを構築することで,マウス操作などの影響を排除した実験を行う必要がある.物品費は,このための実験PCとそのソフトウェア購入にあてる.その他の主要支出は,H23年度およびH24年度の成果発表のための,複数学術雑誌英文校正料,複数論文掲載料,国際会議参加登録費(WCI2012, ICGEC2012等),参加旅費,国内会議(進化計算研究会,進化計算シンポジウム)などである.
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Research Products
(14 results)