2011 Fiscal Year Research-status Report
閲覧者の興味と感情を重畳して他者への感化を促す「情動WEB」の構築
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23500326
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小俣 昌樹 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (60402088)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 感情推定 / 感情価 / 覚せい度 / 生体信号 / 生理指標 |
Research Abstract |
本研究では,Webコンテンツの閲覧者の感情をそのコンテンツ上に可視化することで他の閲覧者への感化を促す情動Webの構築を目的とする. 初年度である2011年度は,生体信号から人間の感情(感情価と覚せい度)を推定するモデルの構築に取り組んだ.覚せい度の推定においては,従来構築したファジィ推定モデルを使って,感情を助長したり抑制したりするアニメーションを提示したときの観察者の覚せい度の変化について,呼吸,脈波,および皮膚電気活動から推定した.その結果,覚せい度を10段階に分類した場合,平常時からの2段階程度の高低の変化を観察できた.一方,感情価の推定においては,新たな推定モデルを構築するために,あらかじめ感情価の評価された刺激画像を提示したときの脳波と脳血流を測定し,感情価とこれらの生体信号との重回帰モデルを構築した.その結果,刺激画像提示において,脳血流のHEG率や脳波のα波およびθ波が主に感情を説明する指標であることがわかった. この静止画像による視覚刺激の内容と生体信号の変化との関係を解明する実験として,3つの実験を実施した.ひとつ目の実験では,画像の感情価が変化すると観察者の脳血流のHEG率や脳波のα波が変化することを示した.これは,先行研究における動画と脳血流との関係のモデルをさらに静止画像にまで拡張するモデルである.2つ目の実験では,画像の色相と生体信号との関係として,青色を基調とする画像を見たときは,橙色を基調とする画像を見たときよりも,有意に脳血流のHEG率が高くなることを示した.これは,画像の要素の何が生体信号の変化に影響を与えるのかということを解明する手がかりとなる.この結果を受け,3つ目の実験として,輝度の違いによる生体信号への影響を検証し,その影響はないことを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
感情の中の覚せい度の推定モデルの評価実験を実施し,その精度を確認できた.また,感情価の推定モデルの構築のための検証実験において,さまざまな生理指標の中から脳血流のHEG率や脳波のα波・θ波がその推定に有効であることを解明できた.
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Strategy for Future Research Activity |
ひきつづき,感情(感情価と覚せい度)の推定モデルを構築・評価し,モデルの推定精度の改善に取り組む.また,提示刺激としてWebコンテンツを使用し,Webコンテンツの閲覧者の感情とその生理指標との関係の解明に取り組む.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
感情推定モデルの推定精度向上のため,生体信号として,事象関連電位や頭部の体温などを測定する新たなセンサの購入を検討する.また,これまでの研究成果について,国際会議や論文誌等で発表することにも取り組む.
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Research Products
(4 results)