2013 Fiscal Year Annual Research Report
衝動的反応の制御メカニズムの個人差の解明に関する認知科学的研究
Project/Area Number |
23500329
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野村 理朗 京都大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60399011)
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Keywords | 衝動性 / 自己制御 / 反応競合 / 遺伝子多型 / tDCS / セロトニン |
Research Abstract |
1. 向社会的行動の基盤となる情動制御過程への5HT2A受容体遺伝子多型の影響を明らかにした。先行実験において既に5HT2A受容体遺伝子多型のAA多型保有者はGG多型保有者に比べVLPFC(前頭前野腹外側部)が関与する反応制御が困難であり(Nomura et al., 2006)、VLPFC機能が低い可能性を明らかにした(Nomura and Nomura, 2006)。本研究課題においては、困窮する他者への援助行動に要する情動制御過程について検討し、1)AA多型保有者はG多型保有者と比べ他者の悲しみへの共感中の左VLPFC活性が低いこと、および2)左VLPFC活性と主観的な悲しみ評定との正相関がAA多型保有者においてのみ確認された。こうした結果は、5HT2A受容体遺伝子多型が情動制御過程に関与し、具体的には、AA多型がVLPFCに基づく共感の調整機能が低いこと、およびAA多型のそうした特質が後の援助行動の発現に影響している可能性を示唆するものである。 2. 運動反応の競合課題に及ぼすデフォルトモードネットワークの影響を明らかにした。従来、default mode network(DMN)の活動と認知課題成績との相関性が示唆されているが、それらの因果関係は明らかとなっていない。そこで本研究課題においては80名の成人参加者を対象として、非侵襲的に脳活動およびネットワークを調節可能な手法である経頭蓋直流電流刺激法(transcranial direct current stimulation; tDCS)によりDMNをなす右側の下頭頂葉(rIPL)の活動を操作した。その結果、同領域を活性化することよりマインドワンダリング頻度(課題無関連思考)が減少する一方で、反応競合課題の成績活動の向上が認められたことから、DMNはマインドワンダリングをトリガーし、および右IPLに対するtDCSによって反応競合課題に要する情報処理に影響しうることなどが示された。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Non-conscious neural regulation against mortality concerns.2013
Author(s)
Yanagisawa, K., Kashima E. S., Moriya, H., Masui, K., Furutani, K., Nomura, M., Yoshida, H., Ura, M.
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Journal Title
Neuroscience Letters
Volume: 552
Pages: 35-39.
DOI
Peer Reviewed
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