2013 Fiscal Year Annual Research Report
物体の持ち上げ時に知覚される重さに関する基礎的研究-慣性力情報の処理機構-
Project/Area Number |
23500336
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
川合 悟 帝塚山大学, 心理学部, 教授 (90177634)
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Keywords | 感覚 / 異種感覚統合 / 重さ / 慣性力 |
Research Abstract |
持ち上げ時に知覚される重さに対する物体の慣性力の影響を検証し、その情報処理機構について考察した。慣性力は物体を把握する指先の作用点から物体重心までの距離や軸周りの質量分布の違いによって生じると考えられるので、質量分布を統制するため、質量が同じで(50 g)、大きさの異なる3種類の立方体(20, 30, 40 mm)を作成し、さらに把握作用点-重心間距離を統制するため異なる長さの把握部分付の棒(50, 75, 100 mm)を装着した。各刺激はそれぞれ2つずつ準備した。18名の被験者に9種類の刺激から選ばれた2つの刺激の把握部分を把持して一つずつ持ち上げ、知覚される重さを比較し、知覚される重さを三件法(重たい、軽い、同じ)で求めた。実験1では同じ大きさの2つの刺激を用い「距離」だけの影響が調べられた。各大きさ条件(3 size)で9種類(3 ascending ×3 constant×3 descending)の距離条件をそれぞれ6試技ずつ実施した(162試技)。実験2では異なる大きさの2つの刺激を用い「距離」と「大きさ」の相互作用が調べられた。各大きさ条件(6種類)で9種類の距離条件をそれぞれ4試技ずつ実施した(216試技)。条件は被験者間でカウンターバランスをとり試技の組合せは疑似ランダムに配置した。質量が一定なため同じと知覚された割合に対して対応ある分散分析を実施した。実験1からは、両刺激の距離の差が大きくなるほど重さへの影響は大きくなった(p < .05)。実験2からは、距離に大きさ要因が加わると距離増大と大きさ減少では重さは増大しその逆も観察された。しかし両要因がこれ以外の条件では重さは複雑に変化した。結論として物体の慣性力は知覚される重さに影響しておりこの情報の処理機構について、バイオメカニクス、神経生理学的視点から考察した。
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Research Products
(3 results)