2016 Fiscal Year Annual Research Report
An application of computational algebraic methods to the theory of statistical experimental designs
Project/Area Number |
23500355
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
青木 敏 神戸大学, 理学研究科, 教授 (90332618)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2017-03-31
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Keywords | マルコフ連鎖モンテカルロ法 / イデアル / グレブナー基底 / 実験計画法 / 分割表 |
Outline of Annual Research Achievements |
多因子実験計画により得られた頻度データに対する統計モデルの当てはまりを、条件付分布にもとづく有意確率により評価するという方法において、漸近分布論の当てはまりが悪く、かつ正確検定も困難な場合には、マルコフ連鎖モンテカルロ法による有意確率の数値計算が有効な手法となる。その際に重要となるのは、標本空間上に既約な連鎖を構成するための推移基底(マルコフ基底)の計算であり、これは多項式環のトーリックイデアルの生成系として特徴づけられることが知られている。このイデアルの配置行列は、考えている計画行列と統計モデルから定めることができる。例えば、2元分割表の独立モデルは、マルコフ基底の最も基本的な例であり、2次のマルコフ基底をもつことが知られているが、高次の分割表の様々な統計モデルに対応するマルコフ基底が複雑な構造を持つことは知られており、また、2元分割表であっても、分割表が固定ゼロセルを含む場合や、固定する十分統計量が特定の部分和を含む場合には、より高次の要素が必要となることも知られている。本研究課題では、多項式環のイデアルの様々な視点から、そのグレブナー基底と対応する統計モデルの研究を行った。最終年度に出版された論文、Markov bases for two-way change-point models of ladder determinantal tables では、上述の2元分割表における複雑な場合となる、固定ゼロセルの存在と部分和制約の問題を同時に考え、固定ゼロセルが ladder determinantal 表とよばれる形で、さらに部分和の制約が 2次元変化点問題に対応する場合に、グレブナー基底の具体型を求めた。この結果は、分配束に対するグレブナー基底の理論に基づくものである。得られたグレブナー基底は 3 種類の 2 次の2 項式からなり、一意的な極小マルコフ基底に対応する。
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