2014 Fiscal Year Annual Research Report
形状仮説および変化点仮説への2重累積和統計量に基づく総合的接近法とその様々な応用
Project/Area Number |
23500362
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
広津 千尋 明星大学, 公私立大学の部局等, 主幹研究員 (60016730)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 1・2・3重累積和 / 1母数指数分布族 / 形状制約仮説 / 統計的品質管理 / 不等間隔時系列 / 変化点解析 / マルコフ性 / 用量反応曲線外挿 |
Outline of Annual Research Achievements |
「形状制約および変化点仮説への2重累積和統計量に基づく総合的接近法とその様々な応用」について研究し、ほぼ予定通り遂行出来た。本研究は以下に述べる3点に関し、真に総合的研究と言える。(1)従来、統計学の二つの異なるテーマとして研究されてきた形状制約と変化点仮説を統一的に論じた。(2)単調仮説、凸性仮説、S 字性仮説という3種の形状制約を統一的に論じた。これらはそれぞれ、ステップ、スロープ、変曲点という3種の変化点モデルに対応する。(3)当初、独立なポアソン系列の変化点解析から出発し、2項分布系列を経て、最終年度には1母数指数分布族へと一般化した。これにより、分布の制約が解消され、分割表解析も可能となった。 かかる総合化を可能にしたのは、基礎統計量としての1・2・3重累積和の発見である。これらがそれぞれ、1・2・3階マルコフ性を有することから、系統的、正確、かつ効率の良い検定統計量分布計算のアルゴリズムが得られた。これにより、かかる公式が無ければ法外な年数を要する計算を数分で実行出来ることとなった。さらに本研究は、理論のみならず、変化点解析、用量反応解析という実際的問題に適用でき、有用である。とくに、研究のきっかけとなったポアソン系列の変化点解析は、実際に医薬品機構において副作用自発報告のモニタリングに応用されている。この場合、何らかの理由によって増加傾向となった副作用をいち早く検出すると同時に、その最初である変化点を推測することは極めて大事である。このように、形状制約および変化点仮説の総合化は、応用上も極めて有意義である。なお、単純累積和は統計的工程管理において古くから研究、活用されている。本研究はそれを2・3重累積和に拡張したという意義も有する。
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