2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500375
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
青西 亨 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (00333352)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | カルシュムイメージング / 状態空間モデル / ベイズ統計 / 細胞外刺激 / 樹状突起 / カルシウムウエーブ / 粒子フィルタ / 非負因子分析 |
Research Abstract |
近年、蛍光イメージング装置の発達により、細胞内の分子動態を時空間的に高解像度で計測可能となった。しかし、この手法は以下の問題を内包している。1 : ノイズを如何に除去するか。2 : 蛍光色素とカルシウムイオンの化学反応を経た2次的な情報である蛍光シグナルから、如何にカルシウムイオン濃度を定量的に求めるか。3 : 大量の時空間データから如何に重要な情報を抽出するか。これらの問題を解決するため、以下の研究を行う。研究(I) : 蛍光シグナルからカルシウム濃度を推定する統計的較正法の確立。研究(II) : (I)を空間的に拡張し、時空間カルシウム動態の定量的推定法の確立。研究(III) :多細胞イメージングのためのマルチスケール統計解析法の開発。平成23年度では、以下の研究を行った。研究(I):単一標本の蛍光時系列では不定となるパラメータに関して事前確率を与えて、ベイズ統計の枠組みでカルシウム濃度やパラメータの周辺事後確率を計算する粒子フィルタのアルゴリズムを構成した。また、このパラメータの事前確率を与えるための生理実験のプロトコールを提案した。本提案手法の有効性を数値実験と生理実験で検証した。研究(II): 研究(I)を空間的に拡張し、樹状突起内のカルシウム波を定量的に解析するための統計的手法(拡張カルマンフィルタ)を構築し、数値実験でその有効性を検討した。研究(III): 多細胞カルシウムイメージングデータに対して非負因子分析法を適用し、樹状突起や細胞体などの機能単位のシグナルに分離できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究(I)が順調に進捗し、東京薬科大学生命科学部宮川研究室の協力のもと生理実験も完了した。結果を纏め、査読付き論文誌の原稿を執筆する段階である。また、研究(I)の順調な進捗に伴い、次年度に予定していた研究(II)を本年度に前倒して実施し、予備的な結果を纏め、国内会議と国際会議での発表が完了している。研究(III)も順調に進捗し、手法の有効性の検証が完了し、国内会議と国際会議での発表が完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究(II):樹状突起内のカルシウム波の実データの提供を受け、平成23年度構築したアルゴリズムを適用する。研究(III): 脳波を模擬した細胞外電場刺激を与えたラット海馬脳スライス標本の多細胞カルシウムイメージングデータを宮川研究室から提供を受ける。このデータに平成23年度構築した各機能単位のカルシウムシグナルを抽出する統計的手法を適用する。細胞外電場刺激とカルシウムシグナルの相互相関解析により細胞外電場刺激の各機能単位への影響を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入を予定している設備備品は、数値計算用ソフトウエアMATLAB(30万円程度)、データ解析や数値実験用の計算機(50万円程度)であり、本研究課題を実施するために必要不可欠である。その他の主な予算は、成果発表のための旅費(学生の旅費を含めて)である。
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Research Products
(32 results)