2013 Fiscal Year Annual Research Report
注意欠陥多動性障害モデル動物での豊かな環境飼育による脳内ドパミン神経系の変化
Project/Area Number |
23500395
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
飛田 秀樹 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00305525)
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Keywords | 扁桃体中心核 / うま味 / GABA / 弧束核 / 攻撃性 / ドパミン受容体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、注意欠陥多動性障害(ADHD)モデルのSHRラットを用い、“発育期の外部刺激が如何に情動行動の形成に影響を与えるのか?”について、脳内DA神経系との関連性から取り組むことである。H25年度は、豊かな環境飼育(EE)の実験系に”うま味経口摂取“による情動行動変化の実験系を新たに加え、情動行動形成メカニズムの解析を行った。 EEの実験系では、cocaine- and amphetamine -regulated transcript (CART)のmRNA発現レベルが高く、EEにより有意に発現が増加する扁桃体(Amy)に焦点を絞り研究を進めた。CART免疫染色によりAmy内での発現局在が示され、基底外側核には発現しないが扁桃体中心核(CeA)にのみ染色されることが明らかになった。またCARTはGABAと共発現するものの、パルブアルブミン陽性細胞には発現しないことも明らかになった。CeAにおけるCART発現が、EEによる不安様行動の減少および社会性の亢進という情動行動の変化と関連することが明らかになってきた。 一方、孤独環境で飼育(IE)したSHRラットに対しうま味物質のグルタミン酸ナトリウム(MSG)を経口投与すると、社会性(攻撃性の低下)が変化することが明らかになった。この変化は、胃迷走神経の切除により消失することも示した。すなわち、胃から延髄弧束核(NST)への入力が社会性の変化に関係することを明確に示した。NSTからCeAへの投射が報告されているので、CeAにおけるドパミン受容体(DAR)の発現を調べた結果、D1RおよびD2Rともにその発現が著しく増加していた。すなわち攻撃性の低下とAmyにおけるDARとの関係が示された。今後この点について解析を進めたい。
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Research Products
(8 results)