2011 Fiscal Year Research-status Report
哺乳類の歩行運動機能成熟における脊髄神経回路制御機構の発達
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23500460
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
西丸 広史 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (20302408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小金澤 禎史 筑波大学, 医学医療系, 助教 (80431691)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ニューロン / シナプス / 神経回路 |
Research Abstract |
我々の体の動きは中枢神経系の神経回路間の密接な相互作用によって生み出されている。しかし回路同士の相互作用やワイヤリング機構の詳細は未だに明らかではない。本研究では神経結合パターン形成異常による歩行運動の異常を示す遺伝子改変マウスを用いた新たな運動制御の実験モデルを駆使して、(1)運動出力を担う脊髄神経回路が大脳皮質運動野をはじめとする上位中枢によってどのように制御されているのか、(2)誕生から成熟するまでの間にどのような過程でこれらの神経回路同士のワイヤリングが起きるのかを、マウス個体において神経回路レベルで明らかにすることを目的とする。 本年度は、神経結合パターン形成異常による歩行運動の異常を示す遺伝子改変マウスモデルの実験系の確立を行った。これまでに軸索誘導因子のキメリンを欠損したマウス(キメリンKOマウス)が野生型でみられる左右交代性の歩容とは異なり、左右が同期したウサギ様跳躍歩行を示すことを示しているが、本研究では、大脳皮質特異的キメリンKOマウスを作成し、脊髄摘出標本を用いて歩行中枢の出力パターンを解析したところ、野生型と同様の左右肢が交代した歩行パターンを示した。また成熟した動物でも歩行パターンは左右交代であった。さらに、同側に軸索を投射する興奮性ニューロンの一部が誤って反対側に投射するという異常が見られる細胞種特異的キメリン欠損マウスを作製し、成熟動物でその歩行パターンを解析したところ、左右肢が同期したパターンと交代した歩行パターンの両方を示した。このことは、脊髄内の興奮性神経細胞の軸索の混線がキメリン欠損マウスの跳躍様歩行の一因であることを強く示唆していた。これらのマウスについて現在、詳細な生理学的・形態学的解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、神経結合パターン形成異常による歩行運動の異常を示す遺伝子改変マウスモデルの実験系の確立を行った。それぞれの成熟動物での歩行パターンの解析を行い、その歩行運動における表現型を明らかにした。さらにこれらの遺伝子改変マウスにおいて、新生児期に確立される脊髄運動神経回路網の性質についても解析を行い、学会発表を行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もマウス新生児から成熟動物の各発達ステージにおいて、(1)運動神経回路におけるシナプスメカニズムの研究を進めるため、野生型マウス、キメリンKOマウスおよび部位・細胞種特異的なキメリンKOマウスの歩行CPGの出力パターンを解析する。(2)皮質脊髄路の電気刺激による脊髄神経回路への制御様式を解析する。これらの実験の際には筋電図、神経電図、ホールセルパッチクランプ法及び微小電極による細胞外記録法を用いる。これによって野生型および歩行異常を示す遺伝子改変マウスの歩行CPGの発達様式および皮質脊髄路との相互作用を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の遂行に必要な消耗品の購入、成果の学会発表のための旅費および謝金に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)