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2012 Fiscal Year Research-status Report

脳内カンナビノイド系が変化するメカニズムの解明

Research Project

Project/Area Number 23500466
Research InstitutionKanazawa University

Principal Investigator

少作 隆子  金沢大学, 保健学系, 教授 (60179025)

Keywordsカンナビノイド / 可塑性
Research Abstract

本年度は、以下の3つの実験を平行して行った。実験Aおよび実験Bは前年度の研究をさらに発展させたものである。一方、実験Cは前年度に予定されていたができなかったもので、本年度に新たに開始したものである。
実験A:培養海馬ニューロンを用いて、前年度の研究により明らかとなった「内在性カンナビノイド2-AGのCB1受容体を介さない効果」のメカニズムの解明を試みた。その結果、2-AGは(1)CB1およびCB2受容体を介さずにニューロンの興奮性を上昇させること、(2)1μMより有効であること、(3)2-AG分解酵素を阻害すると効果が弱まる傾向がみられること、(4)静止膜電位や活動電位の閾値および振幅に影響を及ぼさないこと、が明らかとなった。
実験B:前年度の研究により確立した条件を用いて、確率的行動選択課題の成績をうつ病患者と健常者とで比較した。その結果、健常者に比べ、うつ病患者ではNoGo学習(嫌な結果が得られた場合、その行動を行わないようにする学習)が弱い傾向がみられた。
実験C:海馬の培養細胞(ニューロンとグリアの両方を含む)のCB1受容体のmRNA量をRT-PCR法で調べたところ、グリア細胞にもかなりの量のCB1受容体が発現されていることがわかった。そこで、CB1受容体を多く発現していることがすでにわかっているグリア由来の培養株細胞であるU87細胞を用いて実験を行うこととした。CB1受容体発現量に影響をおよぼす因子を探索したところ、発現を減らす培養条件を見つけたため、現在詳しい解析を進めている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の計画では「神経活動の変化」が「CB1受容体発現量」にどのような影響をおよぼすのかを調べる予定であったが、この両者がお互いに影響をおよぼし合うことがわかり、前年度に両者の関係を明らかにする実験を行った。その過程で、「内在性カンナビノイド2-AGはCB1受容体を介さずに神経活動を高める」という現象を発見した。本年度はこの現象のメカニズムの解明を試み、いくつかのことを明らかにした。よって、予定通りではなかったが、研究は着実に進展している。
また、当初の計画にはなかったが、行動選択に深く関わる大脳基底核にカンナビノイド受容体が多く存在することより、行動選択にカンナビノイドが関与する可能性は高いと考え、前年度に人を対象とした行動選択課題についての実験を始めた。本年度の研究により、健常者とうつ病患者では行動選択に違いが見られることが明らかとなり、「ストレスはカンナビノイド系を変化させ行動選択に影響をおよぼす」という作業仮説と矛盾しない結果が得られた。
以上より、ある部分に関しては「3. やや遅れている」ものの、「1. 当初の計画以上に進展している」部分も多く、総合評価として「2.おおむね順調に進展している」と判断した。

Strategy for Future Research Activity

次年度は、本年度の実験A、実験B、実験Cをそれぞれ発展させる。実験Aでは、2-AGの受容体を介さない作用のメカニズムの解明を試みる。具体的には、2-AGの分解産物であるアラキドン酸がNMDA型グルタミン酸受容体を活性化し神経興奮を高める、という作業仮説を検証する。実験Bでは、患者群の人数を増やし、本年度の結果を確かめるとともに、健常者との違いの大きさと症状との関係などの定量的な解析も行う。実験Cでは、グリア由来のU87細胞を用いてCB1受容体の発現量を変化させる因子(ストレス因子を中心に)を探し、影響をおよぼすことがわかった因子については、最終的に培養海馬ニューロンを用いて確かめる。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

実験に必要な測定装置などはすでに揃っている。しかし、本研究で行われる電気生理学的実験および生化学的・分子生物学的実験においては、多くの消耗品を購入する必要がある。特に分子生物学的実験に必要な消耗品は高額なものが多く、かなりの費用がかかる。また、行動選択課題のプログラムソフトウェアの改良費も必要となる。

  • Research Products

    (2 results)

All 2013 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Cannabinoids inhibit peptidoglycan-induced phosphorylation of NF-κB and cell growth in U87MG human malignant glioma cells2012

    • Author(s)
      Ryosuke Echigo
    • Journal Title

      Oncology Reports

      Volume: 28 Pages: 1176-1180

    • DOI

      10.3892/or.2012.1937.

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 内因性カンナビノイド2-AGのカンナビノイド受容体を介さない作用2013

    • Author(s)
      少作 隆子
    • Organizer
      第90回日本生理学会大会
    • Place of Presentation
      タワーホール船堀(東京都)
    • Year and Date
      20130327-20130329

URL: 

Published: 2014-07-24  

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