2013 Fiscal Year Annual Research Report
BACトランスジェニックマウスにおける脊髄後角エンケファリンニューロンの性質
Project/Area Number |
23500468
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
堀 雄一 獨協医科大学, 医学部, 教授 (60190229)
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Keywords | エンケファリン / NMDA受容体 / NMDA受容体サブユニット / 脊髄痛覚神経回路 / 脊髄後角表層ニューロン / 単一細胞遺伝子発現解析 / BKチャネル |
Research Abstract |
脊髄後角に分布するエンケファリン含有ニューロンの薬理学的・生理学的性質を検討するために、Enk-GFPマウスを用いて実験を行った。前年度において確立した単一細胞Real-Time RT-PCR法を用いて検討し、以下の結果を得た。 (1)Enk-GFP(+)と(-)マウスの、NMDA受容体NR2A、NR2Bサブユニットの発現の比較: Enk-GFP(+)ニューロン45個中10個(22%)はNR2A(+)/NR2B(-)、8個(18%)はNR2A(+)/NR2B(+)、27個(60%)はNR2A(-)/NR2B(+)であった。Enk-GFP(-)ニューロン57個中23個(40%)はNR2A(+)/NR2B(-)、8個(14%)はNR2A(+)/NR2B(+)、26個(46%)はNR2A(-)/NR2B(+)であった。Enk-GFP(+)および(-)ニューロンとでは、NMDA受容体2Aおよび2Bサブユニットの発現パターンに有意差はなかった(カイ自乗、p=0.15)。 (2)大コンダクタンスカルシウム活性化カリウムチャネル(BKチャネル)発現の検討: 我々は脊髄後角内において、BKチャネルが疼痛情報のシナプス伝達に対して調節作用を行っていることを報告した。今回、Enk-GFP(+)ニューロンにおいてBKチャネルの発現の有無を検討した。41個のEnk-GFP(+)ニューロン中27個(66%)にBKチャネルの発現が確認された。また、29個のEnk-GFP(-)ニューロンのうち14個(48%)にBKチャネルが発現していた。BKチャネルの発現パターンにEnk-GFP(+)および(-)で差異はなかった。 (3)まとめ: 成熟マウス脊髄Enk-GFP(+)ニューロンにNMDA受容体が発現していることが確認された。さらに、Enk-GFP(+)ニューロンの多くにBKチャネルが発現していることが確認された。しかし、NMDA受容体およびBKチャネルの発現は、Enk-GFP(+)ニューロンに特異的なものではなかった。NMDA受容体の活性化によりBKチャネルが開口しEnkephalin含有ニューロンが過分極しEnkephalinの放出を抑制性に調節すると推測される。
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