2012 Fiscal Year Research-status Report
ヒト皮質脳波信号処理に基づく運動・言語の高次脳機能発現メカニズムの研究
Project/Area Number |
23500484
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
加藤 天美 近畿大学, 医学部, 教授 (00233776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 智広 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (40359873)
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Keywords | 高次脳機能 / fMRI / 言語機能 / 文処理障害 / 動詞想起障害 / 失語 / BMI / 局所脳機能障害 |
Research Abstract |
ヒトの脳機能は広い範囲の脳領域の協調により発現すると考えられているが、ヒトの能動的企図(チョイス)を包含する情報は驚くほど狭い領域の脳皮質活動に集約される可能性がある。これらを同定することは、電極の少ない、効率的な脳-マシンインターフェイス (BMI)の開発に繋がる。 これまで、言語領域の同定を課題に、単語レベルと文レベルの課題を用い、fMRI解析を行ってきた。本年度は、さらに、「文の生成や理解に関わる処理」をターゲットに、文処理に関与するより基本的な処理が仮定される課題、かつワーキングメモリーに負荷がかからない課題として、日本語の文完成課題を用い、正常ヒトと失語症患者において、脳賦活部位と障害部位を比較した。その結果、左下前頭回、左頭頂小葉は文完成課題に含まれる文処理に関与していることが示唆された。また、左下前頭回に病巣では文処理障害を呈し、左頭頂-上側頭回後部の病巣では動詞想起障害を呈していた。すなわち、左下前頭回は構文処理に、左頭頂-上側頭回後部は語彙の貯蔵がメインであるがその中の動詞の情報の処理に関与することが示唆された。さらに、硬膜下電極留置術後の患者が運動・言語タスクを施行する際の皮質脳波を記録し、その記録から逆に運動や言語タスクの内容を推定する復号化のため、よりよい解析方法を検討した。 なお、本研究のように患者の電気生理臨床データを用いた研究は近畿大学医学部倫理委員会の承認をすでに得ており、被験者から本研究に対するインフォームドコンセントを得た上で実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね、研究実施計画に沿って、研究が進んでいるから。
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Strategy for Future Research Activity |
より高次のヒトの言語機能を解明するため、fMRI、皮質脳波などを用い、正常ボランティアや患者において、賦活課題を工夫し、研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
信号解析のためのソフトウエアならびにハードウエア、記録媒体などに使用する予定である。
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