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2012 Fiscal Year Research-status Report

マウス日和見感染症起因微生物4種を同時に検出する技術研究

Research Project

Project/Area Number 23500500
Research InstitutionIwate Medical University

Principal Investigator

花木 賢一  岩手医科大学, 医学部, 准教授 (40376421)

Keywords核酸増幅検査 / LAMP法 / マウスノロウイルス
Research Abstract

マウスノロウイルス(MNV)はカリシウイルス科ノロウイルス属のRNAウイルスで、遺伝子配列の異なる多数の株がGenBankに登録されている。そこで、プライマーはGenBankに登録された全長あるいはほぼ全長の71株のMNV間でよく保存されている領域、MNV-1遺伝子の4854から5161塩基間でプライマーを設計した。その際、7箇所のプライマー領域は少なくとも3’末端側5塩基には変異を含まないことを条件とした。このプライマーセットを用いたRT-LAMP法は62℃60分間の反応で、既存の標準RT-PCR法の17.8倍の検出感度を示した。
実用評価として国内の独立した4マウス飼育施設から収集したマウス糞便115例よりRNAを抽出し、RT-LAMP法とRT-PCR法によるMNVの検出を行った。その結果、RT-LAMP法では56例、RT-PCR法では50例がMNV陽性であった。また、RT-PCR法と比較したRT-LAMP法の特異性は100%であった。実験操作はRT-PCR法に比べてRT-LAMP法が簡便であり、専用の遺伝子増幅装置も必要としない。反応の判定は反応液の色(陽性:水色;陰性:青紫色)で行うことができる。以上のことから、RT-LAMP法はMNV感染診断においてRT-PCR法に代わる標準技術になり得ることが期待される。
マウス糞便から対象となる微生物(ウイルス、細菌)を同時に検出する方法について、マウス糞便はPBSで膨潤させて滅菌爪楊枝で破砕して溶解し、5000 x g, 10分間の遠心で上清(ウイルス画分)と固形物(細菌画分)に分離し、上清をウイルスRNA抽出キット、固形物を糞便DNA抽出キットによるゲノム調製に用いた。そして、マウス糞便(2-3粒;0.1-0.2g)よりマウス肝炎ウイルス(MHV)、MNV、黄色ブドウ球菌、緑膿菌を同時並行して検出できることを確認した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究ではマウスに対する4種の日和見感染起因微生物(黄色ブドウ球菌、肺パスツレラ、MNV、MHV)を同時に検出する方法をLAMP法で確立することを目的としている。これまでに黄色ブドウ球菌を検出するLAMP法とMHVを検出するRT-LAMP法を確立してマウス糞便からの検出に応用できること、従来法(培養法またはRT-PCR法)の代用法として利用できることを明らかにして国内の学術集会、国際専門誌で発表した。また、MNVを検出するRT-LAMP法はGenBankに登録されたゲノムを網羅的に検出できるプライマーを設計し、国内分離株による検出感度評価と従来法(RT-PCR法)との検出精度比較、マウス糞便からのウイルス検出へ応用できることを確認して第154回日本獣医学会学術集会で発表している。本課題研究期間の2/3を終了した時点で3種の微生物についてLAMP法の構築を完了していることから、研究進捗はおおむね順調に進展していると判断する。
当初はMHVとMNVについて、ゲノム抽出工程を省略できる免疫捕捉法構築のためのモノクローナル抗体作出を計画していた。しかし、細菌(DNA)とウイルス(RNA)を同時に検出するための工程において、免疫捕捉法はサンプル量(マウス糞便量)を多く必要とし、糞便中の核酸合成酵素阻害物を十分に除去できない、全体的には核酸抽出法よりも工数が増えることが明らかになった。そこで、モノクローナル抗体作出と免疫捕捉法の構築は研究計画より除外した。

Strategy for Future Research Activity

肺パスツレラはグラム陰性短桿菌で、2種類の生物型:Jawetz型とHeyl型に分類されている。リアルタイムPCR法ではこの生物型を分別するための標的遺伝子を16S rRNAとする論文が報告されており、その論文を参考にLAMP法のプライマー設計もまた16S rRNAを対象として行う。肺パスツレラ臨床分離株の抽出ゲノムは協力研究者である池郁生先生(理研BRC)より分与を頂いており、近縁のパスツレラ科に含まれるヘモフィルス属菌とアクチノバチルス属菌、その他の主な腸内細菌の抽出ゲノムは協力研究者である切替照雄先生(国際医療研究センター研究所)より分与を頂いている。これらを基に複数設計したプライマーの特異性を評価する。また、GenBankの登録配列を基に合成するJawetz型とHeyl型の人工遺伝子を鋳型として検出限界を明らかにする。
今年度、MNVを検出するためのRT-LAMP法は国内分離株を用いた評価結果を基に国際専門誌へ投稿した。しかし、査読者より日本分離株だけでは世界中で蔓延するMNVを検出できると言うには不十分というクレームがついた。この指摘に対応するために協力研究者へ国外分離株の入手について相談したが、入手には時間を要する上に確約できないという意見であった。そこで、アメリカ、ドイツ、イギリス、中国、韓国、台湾で分離されたMNVのGenBank登録塩基配列を基に人工遺伝子を合成し、それらを鋳型としてLAMP法の実用性を追加評価して論文をまとめる。
4種の日和見感染起因微生物を同時検出するフォーマットとして、96ウェルマイクロプレートと0.2 ml PCRチューブの利便性比較を行う。また、ウェルまたはチューブにあらかじめプライマーを分注して固相する方法についてもアルブミン、ゼラチン、等を用いて検討する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

リアルタイムPCR装置が利用できるようになったことから、開発するLAMP法の比較対照をアガロース電気泳動解析を必要とする従来のPCR法に代わってリアルタイムPCR法により行う。そのため、リアルタイムPCR用試薬を新たに研究費に加える必要がある。そこで、消耗品(合成プライマー、人工遺伝子、TaqManプローブ、LAMP反応用酵素、リアルタイムPCR用試薬キット、核酸抽出キット、反応チューブ)のために80万円を計上する。また、MNVの検出に関する論文と肺パスツレラの検出に関する論文を国際専門誌へ投稿する計画で、投稿前の英文校正を各2回、計4回行うために10万円を計上する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2013 2012 Other

All Journal Article (1 results) Presentation (2 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Reverse transcription-loop-mediated isothermal amplification for the detection of rodent coronaviruses2013

    • Author(s)
      Hanaki, K., Ike, F., Hatakeyama, R., Hirano, N
    • Journal Title

      J Virol Methods

      Volume: 187 Pages: 222-227

    • DOI

      10.1016/j.jviromet.2012.10.008

  • [Presentation] LAMP法によりマウス糞便から4微生物を一括検出する方法の検討2013

    • Author(s)
      花木賢一、池郁生
    • Organizer
      第60回日本実験動物学会総会
    • Place of Presentation
      つくば国際会議場(つくば市)
    • Year and Date
      20130515-20130517
  • [Presentation] RT‐LAMP法によるマウスノロウイルスの検出2012

    • Author(s)
      花木賢一、酒井宏治、池郁生、久和茂
    • Organizer
      第154回日本獣医学会学術集会
    • Place of Presentation
      岩手大学(盛岡市)
    • Year and Date
      20120914-20120916
  • [Remarks] 岩手医科大学医歯薬総合研究所実験動物医学研究部門

    • URL

      http://www7b.biglobe.ne.jp/~civs-imu/Center_for_In_vivo_Science/DLAM.html

URL: 

Published: 2014-07-24  

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