2012 Fiscal Year Research-status Report
簡易生体内蛍光イメージング実現のための新たな3次元再構成技術の開発
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23500509
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 祐次 北海道大学, 情報科学研究科, 助教 (50261582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 孝一 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (30125322)
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Keywords | 医用・生体画像 / 蛍光イメージング |
Research Abstract |
本研究では、体内蛍光物質のイメージングを体表から簡便な手法で行う技術の開発を目的としている。特に、体内導入可能な血管蛍光造影剤やがん親和性の光感受性薬品等の生体内の分布画像を光散乱により劣化した蛍光画像の復元を具体的な目的とする。 平成24年度においては、前年度の結果を踏まえ、励起光源配置または蛍光画像撮影方法の最適化の検討、生体の光学定数の変化に対する深さ計測精度の検討及び複数励起波長による蛍光体厚さを推定する方法の検討を行った結果、以下の3点の通りに示す成果が得られた。 1.励起光源配置および撮影条件の評価を行った結果、自由度の高い光源配置が可能であることが明らかとなった。また、撮影方法については撮影角度を変えることで3次元化を図る予定であったが、下記に示す項目3の別の方法で3次元化が可能となったため、ここでは検討を中止した。 2. 生体程度の散乱や吸収の光学定数の変動範囲における、深さ推定の精度の評価を行った結果、光学定数変動に対して前年度までの手法では精度が落ちることが明らかとなった。それに対する対策として、励起光源数を増やすことにより周囲媒質の光学定数変化に対しても安定な計測手法を開発し、その有効性条件を確認した。 3.蛍光体の3次元情報を取得するため、新たに複数励起波長による蛍光体厚さを推定する方法の開発した。その結果、励起波長を変えることで蛍光体内部への励起光の深達度が変化し、励起波長間の蛍光強度の比が蛍光体厚みに依存することを明らかとした。これにより、断層撮影に頼らず簡易な本手法で蛍光体の3次元情報の取得が原理的に可能であることを明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究期間内に明らかにすべきは、計画では下記の3項目である。 1. 基本原理:基本原理確認のため、簡易モデルによる生体内蛍光物質深さに対する体表蛍光強度分布の理論解析並びに深さ計測手法 の確立。簡易モデルによる深さ計測基礎実験による検証。 2. 蛍光分布計測システムの設計:励起光源配置、蛍光画像撮影方法の最適化の検討。生体の光学定数に対する深さ計測精度の検討と最適化。 3. 蛍光分布計測システムの検証:各種蛍光モデルを用いた検証実験。 この3項目のなかで平成24年度までに、項目2についてはほぼ完了している。さらに、平成24年度では、蛍光体の厚さ情報の推定法を確立した。その結果、深さ推定による観測平面上での画像改善に加え厚さ情報を得ることで、蛍光体の体積の3次元情報の取得が原理的に確立できこととなる。このことのより、平成25年度の研究計画の生体内3次元蛍光物質分布の復元技術の基本システムの構築の基礎部分が完成したこととなる。したがって、「現在までの達成度」の評価としては「おおむね順調に進展している。」が妥当である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は前年度までの結果を踏まえ当初の計画通り、下記の項目について検討を行う。 1.基本システムの構築:これまでの検討結果を基に、生体内3次元蛍光物質分布の復元技術の基本システムを構築する。 2.画像復元アルゴリズムについての最適条件の検討:画像復元方法には逆畳込み積分を利用しているが、この逆畳込み積分のアルゴリズムやそのパラメータによって画像復元結果は大きく影響を受ける。そのため本蛍光イメージングに対する適切なアルゴリズまたはパラメータ等の最適化を図る。 3.各種蛍光モデルを用いた検証実験による本システムの有用性の評価:各種蛍光モデルを用いた検証実験を行い、本システムの汎用性並びに有用性の評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「今後の研究の推進方策」の記載事項の推進のため、平成23、24年度に比べ画像処理関連等の重要性が増す。そのため、画像処理関連部品等を中心に研究費を充当していく。また必要に応じて、光学機構部品、光学素子部品の購入に研究費を充当していく。なお、経費の節減の結果生じた使用残について、光学機構部品、光学素子部品を主に使用する。
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Research Products
(7 results)