2012 Fiscal Year Research-status Report
血液浄化によるアルツハイマー病治療システム:臨床応用に向けたヒト脳変化の検討
Project/Area Number |
23500531
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
北口 暢哉 藤田保健衛生大学, 医療衛生学部, 教授 (70508077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 和紀 藤田保健衛生大学, 医療衛生学部, 講師 (00508468)
中井 滋 藤田保健衛生大学, 医療衛生学部, 教授 (20345896)
伊藤 信二 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (40572079)
加藤 政雄 藤田保健衛生大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50599537)
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Keywords | アルツハイマー病 / 血液浄化 / アミロイドベータ / Aβ / 人工透析 / 治療機器 |
Research Abstract |
血液からのAβ除去によって脳内Aβを減少させ、アルツハイマーを治療する医療機器の創製を行っている。血液透析により血中Aβが除去できるという今までの知見に基づき、主に前向き研究で、血中Aβ、認知機能、脳内Aβがどう変化するかを検討する。 1.前向き研究の対象患者エンロールメント:透析導入が数カ月後に予定される50から80歳代の非糖尿病腎不全患者として、知多市民病院1例、藤田保健衛生大学病院4例、計5例の同意を得た。 2.対象患者の血中Aβ濃度:Aβモノマーに加えて、Aβオリゴマー測定系の検討を開始した。血中Aβモノマーは、透析導入前は著しい高値を示したが透析導入(血液からのAβ除去)によって低下した症例が多かった。 3.認知機能(MMSE):同意が得られた症例の透析導入前の認知機能は高かった。透析導入直前には一時的な低下がみられ、透析導入とともに改善がみられた。 4.脳Aβイメージング:国立長寿医療センター(伊藤健吾脳機能画像診断開発部長)の協力を得て、PIBプローブによる脳Aβイメージング(PET)を開始した。 透析導入後125日(症例3)、320日後(症例1)の測定では、脳内Aβ沈着は両症例とも陰性であった。 導入前のPIB/PET測定ができなかったので、透析導入後の脳内Aβが陰性との結果が、血液からのAβ除去によるものかは断定できない。 5.脳病理からの横断的解析: 上記の前向き研究と並行して、透析患者および非透析者の剖検脳を用いた、血中Aβ除去の効果検討を開始した。倫理委員会の承認を得て50―70歳代の透析患者5例、非透析患者6例の脳を入手し、脳切片のAβ染色を行った結果、diffuse plaque, cored plaqueの数は透析患者の方が有意に少なかった。すなわち、血液からのAβ除去によって、脳内Aβが減少する可能性が示唆されたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.多くの共同研究者(腎臓内科医)の協力によって、対象患者5例のエントリーを得た。 2.当初の計画どおり、血中Aβ濃度、認知機能、MRI、CTなどの測定を進めている。 3.長寿医療研究センターの協力により、症例数は少ないながら、脳Aβイメージング(PIB/PET)を開始した。 4.前向き研究と並行して、透析患者および非透析者の剖検脳を用いた解析を開始し、透析による血中Aβ除去が脳Aβを減少させる可能性が示唆されるデータを得た。
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Strategy for Future Research Activity |
1.透析導入前の患者リクルートをさらに促進する。透析導入前に、脳Aβイメージングに同意いただける患者の確保をめざす。現在同意いただいている患者については、フォローを継続して、データを蓄積する。 2.認知症の外来診療および入院治療を行っている病院との共同研究を実現し、軽度認知障害腎不全患者、または、軽度アルツハイマー病腎不全患者の脳Aβイメージング(PIB/PET)の前向き研究を行う。そのため、対象となる病院への働きかけをまず開始する。 3.対象となる剖検脳の確保につとめ、透析脳、非透析脳のAβ蓄積量の比較をさらに行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.Aβモノマー、AβオリゴマーのELISAキット試薬費。AβオリゴマのWestern解析用試薬費。SRLなどへの測定委託費。(約40万円) 2.血液採取、保管などのためのディスポ製品、脳病理解析試薬などの購入費。(約5万円) 3.PIB/PET等の脳画像診断測定費用(試薬代のみでも1回の測定に20万円程度かかる)(約60万円) 4.協力いただく患者様への謝金および患者交通費負担。(約10万円) 5.海外を含めた学会発表とそれに対する意見の収集、および、本研究に関わる最新情報入手と研究打合せ(旅費、学会参加費等)(約45万円)
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Research Products
(8 results)