2012 Fiscal Year Research-status Report
生体内硝酸性窒素由来NOの産生と血管系における生理作用機序の解明
Project/Area Number |
23500534
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
望月 精一 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (60259596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平松 修 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (50208849)
小野 淳一 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (50435351)
小川 武人 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (10454050)
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Keywords | 硝酸 / 亜硝酸 / 一酸化窒素(NO) / 還元反応 / 抗酸化物質 / ポリフェノール / カテキン |
Research Abstract |
24年度は、一酸化窒素(NO)の原料としての亜硝酸イオンには、亜硝酸塩あるいは飲料中に存在する亜硝酸イオンを用い、亜硝酸イオンからNOへの還元反応に関わる還元物質(抗酸化物質)として様々な物質を含んでいる飲料(緑茶、野菜ジュース、コーヒー、赤ワイン)を用いた。そして、酸性条件下(pH 2)での、生成NO量をNOセンサーで直接計測した。 緑茶、野菜ジュース、コーヒー、赤ワインの抗酸化力(BAP値)は、それぞれ約740±140 uM、1600±400 uM、1600±100 uM、1800±100 uMであった。そして、各飲料を200 nM NO2-を含む緩衝溶液(pH 2)に添加すると、それぞれから140±30 nM、30±10 nM、180±20 nM、190±10 nMのNOの生成が認められた。ポリフェノールを多く含む緑茶、コーヒー、赤ワインでNO生成が多かったが、BAP試薬は鉄イオンの還元反応を指標としており、鉄イオンとキレートを形成する溶質には適用できず、ポリフェノールを多く含む飲料の還元力評価には適さなかった。 次にNO生成の多かった緑茶について、高い抗酸化力の主要因を検討し、緑茶に保存剤として含有されているビタミンCによるNO産生はわずかで、茶葉に含まれるカテキンによることが明らかとなった。一方、赤ワインの場合は、ポリフェノールの還元作用によるNO産生のみでなく、防腐剤として使用されている亜硫酸イオンから酸性条件下ではSO2が生成し、NO計測に影響を与える(30 nM程度)ことも明らかとなった。 以上、酸性条件下で亜硝酸イオンと飲料中の還元物質に混合より、生成するNO濃度は、飲料中に含有される還元物質の還元力(抗酸化力)に依存していた。 一方、ヒト舌下微小血管に硝酸薬(ニトロ化合物)を投与するとNOに還元され、血管拡張を引き起こすことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
24年度は、飲料中の還元物質によって、NO産生へ与える影響が著しく異なる場合があり、それについて様々な基礎検討を行ったため、当初の予想より、対象となる飲料の種類が増え、実験が手間取ったため少し遅れが出ている。ヒト舌下の微小血管(細動脈)への影響については、硝酸薬については、ある程度の検討が完了しているが、より詳細な検討はこれからである。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、生体由来NO産生メカニズムについて、更に詳細な検討を進める。具体的には飲食物中の成分(還元物質、含有亜硝酸イオンなど)の影響をより詳細に検討する。さらにヒト舌下微小血管の観察結果についても、血管径の違いによる硝酸薬の影響(血管拡張能など)の差について、より詳細な解析を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度に引き続きサンプル(飲食物、血液など)由来のNO産生メカニズムの検討を進めるため、主に分析用試薬、分析機器の消耗品の購入に研究費を使用する。 上記の通り、当初の実験計画を一部変更した実験を遂行したため、分析用試薬などの使用量に違いがあり繰越金が生じた。
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