2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500543
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
立花 亮 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80305614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 利住 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20315972)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | FGF2 / BMP2/7 / キチン / キトサン / キチン結合ドメイン / セルロース / セルロース結合ドメイン / pH感受性 |
Research Abstract |
キトサン溶液を無水酢酸を混合することによって、キチンゲルを作製することが出来た。キトサンのアミノ基が部分的にアセチル化されることによって、その部分が不溶化し、自己集合し、ゲルを形成すると考えられる。そのとき、残存するアミノ基によって、水を抱合する。得られたゲルをさらに無水酢酸で処理すると、残存するアミノ基が減少し、それに伴って、ゲルが縮小した。また、無水酢酸ではなく、モノヨード酢酸で処理すると、残存するアミノ基が減少したが、ゲルの大きさは変化なかった。これらにより、ゲルの正電荷を変化させること、逆にカルボキシメチル化によって、負電荷を与えることが出来た。 キチン結合ドメインーFGF2とキチンゲルの結合性について検討した。キチン結合ドメインを持たないFGF2と比較して、キチン結合ドメインーFGF2はキチンゲル(まだ、アミノ基を十分持っているゲル)に結合した。結合したものは緩衝液による洗浄では全く放出されず、リゾチームによるゲルの分解に伴って、放出されることを見いだした。ちなみに、キチン結合ドメインは固形キチンに結合するが、遊離のキチンオリゴマーには結合しないことが知られている。キチンゲルは少なくとも結合するに十分な構造を持っていると推定された。 キチンゲル上では細胞が増殖しなかった。 予定にはなかったが、BMP^2/7ヘテロダイマーにpH感受性セルロース結合ドメインの融合タンパク質を昆虫細胞において、発現させることができた。pH感受性とはpHが5以下に低下するとセルロースから遊離するものである。また、ヘテロダイマーはホモダイマーに比べ、骨芽細胞の分化誘導能が高く、実際、低濃度で分化を誘導することが出来た。 これによって、徐放のタイプをイオン結合によるもの、ゲルの分解によるもの、に加えて、pHの低下によるものが加えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究項目によって、多少の進捗状況の前後があるが、おおむね順調に進展している。 キチンゲル上での細胞培養について、ゲルの厚さによって、細胞が増殖しないということがあるので、より詳しく検討する必要がある。また、細胞とは異なるチェンバーにゲルを入れ、そこから徐放されるという実験系を検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね、計画通りに推進する。細胞培養においては、ゲルの厚さをコントロールすることによって、細胞増殖しやすい環境を形成する。また、細胞とは異なるチェンバーにゲルを入れることによって、増殖因子の徐放実験を行うことも考慮する。【次年度に使用する予定の研究費がある場合】予定ではCO2インキュベーターを導入することになっていたが、細胞培養実験が順調でないため、現在のところ保留し、翌年度に繰り越しをすることにした。(地震のため、研究費の削減が行われる可能性がアナウンスされたこともあり、この費用を予備費的に扱ったため、翌年度繰り越しになったという側面もある。)
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に、細胞培養関連費に使用する当初計画通りに行う。CO2インキュベーターの導入を考慮する。しかし、他の研究費との合算が認められるなら、蛍光顕微鏡システムの導入に切り替えることもある。細胞増殖に伴う、細胞周期を蛍光で観察するシステム(プラスミドベクター)をすでに導入しており、それを観察することによって、細胞状態を推定することが重要である。
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