2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23500543
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
立花 亮 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80305614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 利住 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20315972)
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Keywords | FGF2 / キチンゲル / キチン結合ドメイン / リゾチーム応答性徐放 |
Research Abstract |
新しい徐放システムの構築を検討した。生体内の環境に応じて、細胞増殖因子を徐放するシステムである。また、十分な細胞増殖を促す必要から比較的長期の徐放が求められる。そこで生体内、特に血漿中に存在する酵素キチナーゼあるいはリゾチームに応答するシステムを構築した。キトサン溶液を無水酢酸で処理するとゲルが得られる。これは部分的にキチンであり、これにキチン結合ドメインタンパク(CBD)が結合できる。よって、CBD-FGF2融合タンパク質を結合させ、リゾチームによってキチンゲルが分解され、それに伴ってCBD-FGF2が徐放されるというシステムを構築できた。キチンゲルをTNBSで染色した場合のリゾチームによる黄色物質の徐放は初期バーストを伴ったものであったが、CBD-FGF2の徐放はほぼ直線的な徐放であり、初期バーストが全くなかった。これはCBDの性質によるものだと推定された。すなわちリゾチームによってCBDが結合したままキチン部分が放出されるが、CBDは固体キチンにしか結合できないので、可溶キチンから離れ、一部が残存するキチンゲルに再結合することによってこのような直線的徐放がなされると結論した。 また、キチンゲルに残存するアミノ基をさらに無水酢酸で化学修飾した場合、さらに結合量が増加したが、ゲルが収縮した。すなわち、最適な修飾率が存在することがわかった。モノヨード酢酸で化学修飾した場合、FGF2の塩基性と相補することによって、放出されにくくなっていることがわかった。 FGF2に代えて、BMP2で行っても同様の徐放結果が得られた。これにより、FGF2とBMP2のマルチ徐放が出来ることがわかった。しかし、BMP2はタンパク質量あたりの生物活性がFGF2に比べ約10倍低く、生物活性という点ではさらに検討が必要であった。
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