2013 Fiscal Year Annual Research Report
同種培養真皮と上皮成長因子含有創傷被覆材の併用による新規治療法の確立
Project/Area Number |
23500545
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
黒柳 能光 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80170140)
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Keywords | 培養真皮 / 創傷被覆材 / コラーゲン / ヒアルロン酸 / 線維芽細胞 / 上皮成長因子 / 血管新生因子 / 創傷治癒 |
Research Abstract |
本研究は、同種培養真皮と上皮成長因子(EGF)含有創傷被覆材の併用による皮膚欠損創治療のための新規治療法の確立を目的とした。最終的には、同種培養真皮とEGF含有被覆材を一体化した2層型の理想的な培養真皮の開発を達成した。上層はEGFを含有したヒアルロン酸とコラーゲンからなるスポンジ状シートであり、下層はヒアルロン酸スポンジ状シートに線維芽細胞を組み込んだコラーゲンゲルを複合させた培養真皮である。この2層型培養真皮は無血清培地で製造して創傷面に貼付する。 臨床使用を考慮して、無血清培地中で1日、3日、5日保存した後、培養液と空気の界面にリフトアップした状態(創傷面モデル)で6日間培養した。この2層型培養真皮は無血清培地中で3日間は代謝活性およびサイトカイン産生能が保持されたが、5日後にはやや低下した。上層に含有されたEGFは下層に含有された線維芽細胞を刺激して創傷治癒促進に重要な血管内皮成長因子と肝細胞成長因子の産生を促進した。 この同種培養真皮は、冷凍保存しないため、冷凍、解凍、リンス操作による細胞へのダメージがないことが利点である。さらに、無血清培地を使用しているため血清をリンスする操作を省けることが利点である。ここで重要な課題は、無血清培地中で何日保存可能かである。EGFの作用により培養真皮中の線維芽細胞が活性化されることにより、3~5日間の保存が可能であった。この保存期間は、培養真皮の製造施設から医療機関への搬送を可能にすることから、実践的な治療法を提供できることが示唆された。 研究当初は、冷凍保存同種培養真皮を解凍して臨床使用する際に、カバー材としてEGF含有創傷被覆材を併用する治療法を目指していた。これは、緊急性を要する重症熱傷の治療に有用である。さらに、カバー材と一体化した2層型培養真皮の開発に成功した。これは、緊急性を要しない難治性皮膚潰瘍の治療に有用である。
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Research Products
(17 results)