2011 Fiscal Year Research-status Report
実用化を目指した血液脳関門透過型高分子医薬デリバリーシステムの開発
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23500547
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
近藤 哲朗 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (30344229)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 薬物送達システム / 血液脳関門 / 指向性進化工学 / ペプチド |
Research Abstract |
近年、抗体医薬や核酸などの高分子医薬が癌・癌関連疾患や自己免疫疾患をはじめとする種々の疾患の標的分子に対して創出され、リポソームや高分子ミセルといったキャリア-・デバイスの開発と相まって、高分子特性を利用したターゲティング技術が急速に進歩してきている。しかし、これらは中枢神経系以外の組織を標的としたものが多い。 本研究計画では、高分子医薬を脳へ非浸襲的に送達する新しいドラッグデリバリーシステム(DDS)を開発することを目的としている。血液脳関門に発現している膜蛋白・受容体を介して高分子医薬を脳へ送達するペプチド・蛋白質を、指向性進化工学的手法を用いて創出し、将来的な実用化・低コスト化に向けての貢献を目指す。 平成23年度は、脳を標的とした高分子医薬DDS開発のための最初のステップとして、ペプチドの高次構造に一定の束縛条件を付与したデザインのオリジナルランダムペプチドライブラリーを作成し、大腸菌を用いたバクテリアディスプレイ法を応用して標的の膜蛋白受容体に結合するペプチドの探索を行った。大腸菌ペリプラズムにランダム配列のペプチドを発現させると同時に大腸菌内膜上に標的受容体を発現させ、受容体とペプチドとの結合反応をペリプラズム内で行うことにより、従来スクリーニングの際にビーズ等への安定な固定化が困難であった膜蛋白受容体を標的とするペプチド・蛋白質を効率よくスクリーニング・創出することが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は3月11日の東日本大震災の影響により実験施設の再開が8月になったため、当初の実験計画を一部変更して研究を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
種々の指向性進化工学的手法を統合的に用いて、タンパク質高分子医薬を脳へ非浸襲的に送達可能にするドラッグデリバリーシステム(DDS)を開発し、将来的な実用化・低コスト化への貢献を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
脳血管内皮細胞由来の株化細胞とアストロサイトの共培養系やげっ歯類個体を用いたファージディスプレイ法も試み、BBB上に発現する受容体を介して高分子医薬を脳へ送達するペプチドを得る。得られたペプチドをもとに、目的の生理活性を有するタンパク医薬を創出し、in vivo に投与して滞留度や特異性・活性等を精査する。
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Research Products
(2 results)