2013 Fiscal Year Annual Research Report
実用化を目指した血液脳関門透過型高分子医薬デリバリーシステムの開発
Project/Area Number |
23500547
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
近藤 哲朗 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (30344229)
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Keywords | 抗体医薬 / タンパク医薬 / 中枢神経系 / 血液脳関門 / 脳毛細血管内皮細胞 / アストロサイト / 指向性進化工学 / ファージディスプレイ |
Research Abstract |
近年、抗体医薬や核酸などの高分子医薬が癌・癌関連疾患や自己免疫疾患等の標的分子に対して創出され、リポソームや高分子ミセルといった DDSキャリアーデバイスの発展と共に、これらの高分子特性を利用した薬物送達技術が急速に進歩してきている。これらの高分子医薬はその劇的な治療効果から世界の医薬市場で需要が急増しているが、中枢神経系以外の組織を標的としたものが多い。 本研究計画では、脳へ非浸襲的に送達可能な高分子タンパク医薬を創出するための技術開発を目的としている。血液脳関門(BBB)上の膜蛋白・受容体に結合親和性を示すアミノ酸配列モチーフを指向性進化工学的手法を用いて創出し、その機能モチーフを医薬候補となる高分子・タンパク質に応用することによって、BBB 上の受容体を介して脳へ送達できる新しい高分子医薬の開発へ貢献することを目指した。平成23年度からバクテリアディスプレイ法を応用して BBB 上の既知の受容体に特異的に結合するペプチドアミノ酸配列の探索を進める一方、平成24年度からは、独自に作成した in vitro 血液脳関門モデルを用いて、これを透過する機能を有するペプチドアミノ酸配列の探索を T7を用いたファージディスプレイ法を応用して行った。多孔質膜を挟んでマウス脳毛細血管内皮細胞とアストロサイトの共培養を行い、高い経上皮電気抵抗値(TEER)を示す in vitro BBB モデルを作成した。高次構造に一定の束縛条件を付与したランダムペプチドファージライブラリーを作成して、上記 in vitro BBB モデルを用いて目的のアミノ酸配列モチーフの探索を行った。平成25年度は BBB モデルおよびパニング法の改良を行って引き続き進め、脳毛細血管内皮細胞の細胞膜に結合し特徴的に作用する機能モチーフの配列候補群を得た。現在、機能モチーフの更なる創出とこれを用いた医薬候補となる組換え機能タンパクの作製および生体投与の準備を進めている。
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