2012 Fiscal Year Research-status Report
交流磁場を用いた舌癌の低侵襲焼灼治療システムの確立
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23500559
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
猶原 隆 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (50093935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 祐司 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20210958)
前原 常弘 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (40274302)
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Keywords | 癌治療 / 焼灼療法 / 交流磁場誘導法 / 生体等価ファントム / 焼灼用磁性体針 / 熱伝達シミュレーション / ハイパーサーミア |
Research Abstract |
今年度、本研究において実施した研究内容、及び得られた主な結果は下記の通りである。 1.【チタンで被覆した焼灼用磁性体針の改良】舌腫瘍に焼灼用磁性体針を刺入する場合、その大きさや位置によって、穿刺角度が大きく異なる可能性がある。従来の焼灼用磁性体針では、刺入角度により交流磁場中での発熱特性が大きく異なるため、正確な温度制御により腫瘍を凝固壊死させることが困難であった。したがって、本研究における最大の課題は、交流磁場中の磁束方向に対して、無方向性の発熱特性を持つ焼灼用磁性体針の開発と見なされる。今年度は、前年度に試作したチタン被覆焼灼用磁性体針の改良に重点を置いて研究を進めた。そして、従来の課題を克服した、チタン被覆焼灼用磁性体針を完成することができた。 2.【チタン被覆磁性体針の熱解析シミュレーション】チタン被覆磁性体針を臨床応用するための基礎データとして、交流磁場中での発熱特性のシミュレーション解析が重要である。今年度までの2年間の研究により、交流磁場中での発熱挙動を視覚的に捉えて、そのメカニズムを明らかにすることができた。得られた研究成果は、3編の研究論文として纏めて、磁性材料、及び生体機能材料に関する分野の国際雑誌(2編)、並びに国際会議(1編)で公表した。 3.【治療用小型焼灼装置の改良と交流磁場誘導加温実験】本研究では、舌癌を対象とした治療用小型焼灼装置の開発を目指している。そのためには、舌腫瘍に穿刺したチタン被覆焼灼用磁性体針からの熱伝達挙動を明らかにする必要がある。前年度に確立した生体等価ファントム(模擬生体)の作製技術を踏まえて、今年度は人体を想定した生体等価ファントム(模擬生体)中での交流磁場誘導加温実験を行った。そして、熱伝達シミュレーション解析により得られた結果と比較検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度までの研究(2年間)により、磁束方向に対する無方向の発熱特性を有するチタン被覆磁性体針の開発に成功した。針状の金属磁性体に特有な「形状磁気異方性」の効果を低減したことで、焼灼用磁性体針の刺入角度が大きく異なっても、一定の発熱曲線を得ることが可能となった。これらの結果は、交流磁場の強度と周波数を決定すれば、穿刺角度の影響を受けることなく、焼灼温度の把握と制御が可能なことを意味する。 さらに、熱伝達シミュレーションの手法を確立したことで、焼灼用磁性体針から生体等価ファントム(模擬生体)への熱伝熱挙動を視覚的に捉えることが可能となった。これによって、舌腫瘍の大きさや分布状況によって、焼灼用磁性体針の穿刺本数、あるいは穿刺間隔を視覚的にイメージすることができる。臨床応用のための大きな2つの課題を克服できたことから、本研究はおおむね順調に進展していると見なされる。
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Strategy for Future Research Activity |
無方向性の発熱特性を有する「チタン被覆焼灼用磁性体針」の改良を終えたことを踏まえて、臨床応用を想定した最終的な作製技術を確立する。治療用小型焼灼装置については、患者への安全性の確保が最重要の課題と見なされる。臨床応用を可能とするため、「治療用小型焼灼装置」の安全性と機能性について最終的な確認作業を行う。熱伝達シミュレーションの手法を確立したので、次年度は、舌癌の焼灼治療計画の策定に不可欠な、焼灼領域の範囲、焼灼用磁性体針の刺入本数とそれらの間隔などを最終確認する。さらに、チタン被覆磁性体針、治療用小型焼灼装置、生体等価ファントム(模擬生体)実験、さらに熱伝達シミュレーションなどの各項目について、動物実験の結果も合わせて、「舌癌の焼灼治療システムの確立」という大きな枠組みの中で研究成果を取り纏める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、本研究課題の補助事業期間の最終年度に当たるため、研究成果の取り纏めに重点を置く予定である。平成25年5月にイタリア・パドヴァで開催される下記の国際会議において研究発表を行うため、その経費を「旅費」の項目に計上するとともに、参加登録料を「その他」の項目から支出する。 International Conference on Heating by Electromagnetic Sources (HES-13) また、研究成果の取り纏めに必要な追加実験で用いる原料素材や小型器具類の購入経費は、「物品費」の項目から支出する。
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Research Products
(4 results)