2011 Fiscal Year Research-status Report
高精度電気インピーダンス測定技術を用いた肺および循環機能のリアルタイムモニタ開発
Project/Area Number |
23500564
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
根武谷 吾 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (00276180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相馬 一亥 北里大学, 医学部, 教授 (00112665)
今井 寛 三重大学, 医学部附属病院, 教授 (00184804)
小池 朋孝 北里大学, 大学病院, 主任 (90523506)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 電気インピーダンスCT / 非侵襲 / ベッドサイドモニタ / リアルタイムモニタ / 肺機能 / 電気インピーダンス法 / EIT |
Research Abstract |
今年度は計画通り、肺・循環機能リアルタイム測定回路の開発を行った。開発した電気インピーダンスCT(EIT)測定は、(1)携帯型EIT装置(北里EITS Mk1)、(2)小型高性能EIT装置(北里EITS MK2) 、(3)マルチスライスEIT装置(北里EITS MK3)である。(1)の携帯型EIT装置は、電池駆動で手軽に肺のEIT測定ができ、後述するウェアラブル測定ベルト内に一体化できる。EITは非常に安全であり、X線装置のような資格や設置場所の制限がないため、在宅医療や福祉施設などで簡易的な肺機能診断が可能となる。(2)の小型高性能EIT装置は、15cm角程度の汎用サイズであるにも関わらず、局所的な肺密度、肺気量、肺血流が測定できるものである。特別な回路を用いて従来のSheffield大学製EIT装置より大幅に小型化しただけでなく、測定周波数100kHzで約5倍の測定精度を有し、製造コストは約1/10以下である。(3)のマルチスライスEIT装置は、800kHzまで(2)の2倍の測定精度で1スライス16chのマルチスライスEITが測定できるものである。さらにこれらの装置は長時間の連続測定を想定した、「体動自動検出機能」を備えており(特許申請済)、健常男性7名全員において寝返りや走行動作による体動区間の検出が可能であることがわかった。これにより、観察者不在でも体動区間を除いた信頼性の高いEITの連続測定が可能となった。加えて、導電性布電極を用いた洗濯・滅菌可能なウェアラブル測定ベルトを開発した。これにより、電極の装着がワンタッチで可能となり、様々な工夫を用いて従来法と同等のEIT画像が得られることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、電気インピーダンスCT (EIT) 技術を応用した肺・循環機能のベッドサイド・リアルタイムモニタの開発を最終目的とする。昨年度の研究では、携帯型EIT装置からマルチスライスEIT装置までの用途に応じて利用できる装置開発と、導電性布電極を用いたウェアラブル測定ベルトの開発を行った。研究成果は、学術論文1件と特許申請6件として発表した。しかしながら、開発したウェアラブル測定ベルトにおいては、電極のみをベルト内に装着し、ベルト内に多数の電極ケーブルを取り回す必要があった。このため、電極ケーブル相互の電磁干渉の影響や、電極内蔵ベルトを洗濯・滅菌処理する際に電極ケーブルの脱着に時間がかかるという問題があることがわかった。またEITデータのリアルタイム処理であるが、信号処理専用ハードウエアの開発まではできず、高性能PC上でのリアルタイム処理を可能とするまでに留まり、ノートPCなどの性能では十分な処理ができないことがわかった。したがって、ウェアラブル測定ベルトの完成と信号処理専用ハードウエアの開発が次の課題として残った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、臨床使用が容易なウェアラブル測定ベルトの開発と、リアルタイムEIT信号処理回路の開発を行うことで誰でも簡単に正確なEITが測定できるようにする。さらに、開発したEIT装置を3つの医療機関に常設し、これまで研究してきたEITによる肺機能評価法である肺密度・肺気量・肺血流測定法の有効性を明らかにする。具体的には、昨年度に開発したEIT装置とウェアラブル測定ベルトを10台試作し、北里研究所病院ではX線CT値とEITから得られる肺密度との比較を、三重大学付属病院では肺シンチグラフィとEITから得られる肺気量・肺血流との比較を、北里大学病院ではICU患者の急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に対する治療効果を総合的な臨床評価とEITによる肺機能評価結果とを比較する。それぞれ50症例程度の評価を行うことにより、本研究で開発するEIT装置による肺機能評価法の臨床的有用性を明らかにする。この結果を受けて、測定ベルト一体型EIT装置から、マルチスライスEIT装置まで発展させることで、多様な測定条件と肺疾患に対応できるようにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1. 電極ケーブル一体型ウェアラブル測定ベルトの開発:昨年度に開発した測定ベルトは、電極のみをベルト内に装着し、ベルト内に多数の電極ケーブルを取り回す必要があった。このため、電極ケーブル相互の電磁干渉の影響や、電極内蔵ベルトを洗濯・滅菌処理する際に電極ケーブルの脱着に時間がかかるという問題があった。そこで次年度は、電極ケーブル一体型ウェアラブル測定ベルトの開発を行う。これにより、電極ケーブルの相互条件が一定となり、電極内蔵ベルトとの脱着がきわめて容易となる。加えて、肺血流測定に必要な心電図信号測定も共通のベルトのみで可能となる。2. リアルタイムEIT信号処理回路の開発:あらかじめ専用ハードウエアによって肺機能診断に必要なEITデータを処理することで、ノートPCやタブレットPCでも肺・循環機能のリアルタイムモニタを可能とする。
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[Book] 福祉工学2011
Author(s)
根武谷吾 (依田光正編著, 他12名共著)
Total Pages
252
Publisher
理工図書
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