2012 Fiscal Year Research-status Report
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23500598
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
渡部 一郎 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (50241336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長門 五城 青森県立保健大学, 健康科学部, 助教 (20457740)
三浦 雅史 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (90315557)
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Keywords | 運動療法 / 物理療法 / 末梢循環 / リハビリテーション医学 / 毛細血管血流 / サーモグラフィ / 手指温度 |
Research Abstract |
初年度(23年度)研究ではJMC社毛細血管血流観察装置M320の運用や研究手法を検討した。この機器は非侵襲で染色などの前処置をせず、人の爪上皮部の毛細血管血流を赤血球の移動で劇的に観察記録でき、非常に興味深いものである。しかし11秒間の静止を必要とし、患者により不随意運動など記録動画の解析に誤差が生じ実際の測定にはなお困難が多い。運用上の研究で最良の画質での動画解析できるよう、デジタルビデオDV規格720×480ピクセル30コマ/秒をDVテープや大容量外部メモリーに音声付動画(実験者・被験者の声も記録)で保存し精度を高める研究に時間を要した。 被検者の観察姿勢、観察時間、非侵襲検査(サーモグラフィ、サーミスター、血圧・加速度脈波計による血管弾性度、心拍数周波数解析、電流知覚閾値など)を併用計測した。倫理的には、昨年の健常人の手の冷水負荷に加え、交感神経ブロックが可能な光線療法やエルゴメータと呼気ガス分析装置を用いた漸増運動療法について計画書を作成し倫理委員会承認を得た。障害患者に対する臨床研究は、昨年倫理委員会の承認を得た県内A病院倫理委員会に新しい計画書の元で2年目の認可を得た。 共同研究者のほか、本研究に専念する後期大学院生1名TW氏、昨年度に引き続き本研究を卒業研究とする3名の学部学生、2名のゼミ学生に役割分担し共同研究を進めた。 その結果、皮膚温度と毛細血管血流速度・血流量・血管径について、星状神経節光線療法や有酸素運動強度により血流速度・血流量の改善が得られた。健常人では呼気ガス分析による詳細な運動強度との比較ができた。障害患者では、痙縮・拘縮など運動機能低下例での手指温低下や血管弾性度低下との関連性が示された。1年度成果と合わせ、国内学会発表、海外(欧州Thermology学会)発表、医学会誌に原著・研究速報として掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究発表では主に23年度(1年目)の成果を学会発表と論文投稿し複数の業績を残すことができた。それを基礎にすすめた24年度(2年目)研究では、星状神経節光線療法や有酸素運動強度により血流速度・血流量の改善が得られた。健常人では呼気ガス分析による詳細な運動強度との比較ができた。障害患者では、痙縮・拘縮など運動機能低下例での手指温低下や血管弾性度低下との関連性を示し、国内学会発表、海外(欧州Thermology学会)発表、レフリーの厳しい医学会誌に研究速報や原著として掲載された。 健常人では、運動強度を呼気ガス分析による有酸素・無酸素運動強度との詳細な末梢循環との対応を検討できた。非侵襲検査とは言え、障害患者さんに対する疲れ、姿勢、検査時間の短縮ができ、罹病機関や生活習慣との関連性の検討ができ、さらに3年目の研究の方向生を見直すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
顕微鏡観察による毛細血管血流と、計測姿勢・非侵襲的検査としてサーモグラフィや加速度脈波計を用い、運動療法・物理療法の介入による変化とその関連性・障害の病態を検討する。関係する学会への発表、論文発表など数件行い、また3年目前期にも発表すべく演題応募中である。この成果や学会審議、査読者の意見をいれ、3年目には詳細な運動負荷の定量、寒冷・温熱物理療法や、交感神経ブロックによる毛細血管血流測定手法を確立し、倫理委員会書類を作成準備中である。 代表・共同研究者以外に、後期大学院生2年生の1名は、引き続きこの研究のみに専念し、また学部4年生についても、この研究を卒業研究として専任する体制ができている。学部3年生ゼミ生2名については、研究助手として、サーモグラフィ、電流知覚閾値計測、局所発汗定量計など機器操作の習熟をさせ、健常人と糖尿病・障害患者の比較にとどまらず、リハビリテーション処方である定量的な運動療法や詳細な物理療法による毛細血管血流の観察、血流速度、血流量、血管徑の定量計測を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度(2年目)研究費は\17,799を残したが、25年度(3年目)の消耗品の購入費用へ持ち越す。1年目に研究に必要な機器は整備されたため大型(高額)備品の購入予定はない。25年度(3年目)予算は毛細血流動画のデジタルビデオ動画ファイルの保存メディア(DV規格ビデオテープ、BD,DVDディスク、ハードディスク)、温熱物理療法機器や運動療法機器、使い捨て血糖測定キット、血中乳酸検査キット、採血キットなどの消耗品などに充てる。 次年度25年度(3年目)は最終年であり、成果発表のための学会参加費、旅費、論文掲載費に多くあてる。 非侵襲検査ながら、運動負荷・物理療法負荷を加える被検者を男子学生には、拘束時間により学内規定の時給670円の報償費を支出する。低学年の学生には、実験補助として規定の謝金を支出するため研究費を充てる。
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