2011 Fiscal Year Research-status Report
視覚性認知障害と視覚性注意障害の鑑別のための機序と実用性の研究
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23500610
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
金子 真人 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 准教授 (40448923)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 視覚性注意障害 / 視覚性認知障害 / 線画同定課題 / ADHD / ディスレクシア |
Research Abstract |
発達障害の症状分析において視覚性注意障害と視覚性認知障害の有無を簡便にかつ客観的に評価することは難しい。我々は注意の転導性をみる線画同定課題に利用されるMFFTの測度を応用し、初発反応時間(FT)とお手つきエラー数(AC)の2指標を組み合わせた反応パタンから(1)反応が速く正確なタイプ(FA)、(2)反応は速いが誤りが多いタイプ(FI)、(3)反応が遅く正確なタイプ(SA)、(4)反応が遅く、かつ誤りが多いタイプ(SI)の4つの領域特性と、対照群である定型発達群、ADHD群、視覚失認例とロービジョン例の認知特性を併せて検討することで、特異的書字障害を含む発達障害児の視覚性注意障害と視覚性認知障害の鑑別診断の指標を作成することを目的とした。 そのために年長幼児から高齢成人までの全発達段階に適応する日本版線画同定課題の標準化を行い、視覚性注意障害と視覚認知障害を鑑別する可能性を検討するとともに、発達障害である特異的書字障害に関する予測因子とADHDの鑑別診断の可能性について検討を行う計画である。 平成23年度は、日本版線画同定課題の標準化作業を行った。定型発達児として年長児から高校生以上10歳代を301名、健常成人として20歳代から80歳代までの370名のデータを収集を終えた。これは予定している標準化サンプルの95%にあたるデータであり、現在のところ項目反応理論による標準化作業を行っている段階である。また、発達障害児者のデータ収集としてADHD児50名のデータ収集を行う手続きが済み実施予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【平成23年度】予備的実験年度として、日本版線画同定課題の標準化を完了することを最大の目的とした。当初の計画では、対象を保護者から研究への同意が得られた幼児・児童・学生と決めた。そのため健常な就学前6歳児、就学後7歳から12歳児(小学校1年から6年)、13歳から15歳(中学生)までのデータ収集を想定したが、視覚性認知障害を呈する後天性大脳機能障害例をサポートするために70歳代、80歳代までの健常者のデータ収集を行うことを目指し、20歳代から80歳代までのデータ収集をほぼ完了することが出来た。総サンプル数は700名近くにおよび予定している対象の95%の収集を終え順調に基礎的データが集まった。 現在はデータ解析を開始したところである。日本版線画同定課題の解析は、項目反応分析による解析を主として行う。その結果を受け日本版線画同定課題の課題数を減らし検査時間の短縮、および効率性を考慮する予定である。現在12課題であるが、例題を増やし本課題を10課題に減らすことが可能な解析結果が得られている。信頼性係数、および妥当性係数を算出し基準値となる標準化を行う。そして、本検査課題の項目分析を行いつつ各検査刺激特性を明確にする。 以上のように、当初予定していた日本版線画同定課題の標準化に必要なデータサンプルの収集および解析が順調に遂行出来ており、おおむね当初の計画通りに進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究は、平成23年度の研究計画にて策定した日本版線画同定課題の標準化版作業のとりまとめを行う。また、発達障害群、視覚失認群、ロービジョン例への本調査の予備試行を開始する。 【対象】実用性研究のために、発達障害児(ADHD:50人、発達性読み書き障害:40人、特異的書字障害:10人)および視覚失認例:10人、ロービジョン例:40人のデータ収集を予定している。【方法】日本版線画同定課題を実施し、各障害例のに仮定される視覚性認知機能と視覚性注意機能の鑑別診断の可能性を解析する【解析】解析は共分散構造分析とROC解析を行い、健常群の-1.5SD未満の値を示した視覚性認知機能と視覚性注意機能に関する項目を日本版線画同定課題がどの程度の鑑別力を有するか解析する。また、各検査項目をz得点化し特異的書字障害例と他の発達障害群との識別をROC解析により検討し早期発見のための鑑別診断の可能性を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、標準化作業を終えることで実用性研究のためのデータ収集を行わなければならない。そのため研究協力者への謝金および検査協力者への謝金としての研究費支出を予定している。また、研究成果を国内外で発表予定であり、そのための旅費を予定している。その他、解析に必要なデータ解析ソフトウェアをなどの購入資金を予定している。
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[Journal Article] An Investigation into Kana Reading Development in Normal and Dyslexic Japanese Children using Length and Lexicality Effects2011
Author(s)
Sambai Ami, Uno Akira, Kurokawa Suzuko, Haruhara Noriko, Kaneko Masato, Awaya Noriko, Kozuka Junko, Goto Takashi, Tsutamoria Eishi, Nakagawa Kazumi, and Wydell Taeko N
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Journal Title
Brain & Development
Volume: 33
Pages: online
Peer Reviewed
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