2011 Fiscal Year Research-status Report
都市部在住高齢者の外出特性と外出頻度低下をもたらす物理的環境因子に関する研究
Project/Area Number |
23500654
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
橋本 美芽 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (80347278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 裕 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 助教 (50458585)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 高齢者 / 外出行動 / 外出頻度 / 閉じこもり / バリアフリー / 都市環境 / 居住環境 |
Research Abstract |
研究初年度である平成23年度は、研究対象者の基本情報と特性を把握することを目標として研究を行った。 東京都荒川区が重点整備地区として指定した5地区(公共交通機関拠点駅5駅より半径500メートル以内の範囲)のうち、平成22年度に予備調査を実施した1地区を除く4地区に居住する高齢者を対象に、荒川区と共同で郵送調査(地区居住高齢者人口の2分の1を抽出)を実施した。調査地区を駅より半径500メートル以内の範囲に限定することで、屋外環境の地域差やばらつきをできるだけ排除した対象者を抽出した。 調査票は、平成22年度に実施した予備調査の結果を検討し修正を加えてより研究目的に即した調査票に修正し使用した。また、選定した4地区について、各地区内の各種商業施設や医療機関、高齢者福祉サービス施設、地域活動拠点等を地図上にプロットし、高齢者の外出目的地を具体的に抽出して、外出動機や外出目的となる行為・活動を分類し調査項目として用いた。 郵送調査により、健康基礎情報、外出頻度(外出頻度低下者の抽出)、外出行動の特性、外出目的、屋内外における物理的外出阻害因子、外出不安因子、自宅内における活動性低下をもたらす居住習慣、等の外出目的や外出行動を阻害または制約する物理的環境因子の抽出を行った。また、外出頻度維持者と閉じこもりを含む外出頻度低下者の比較を行い、外出頻度低下者の実態を把握し、外出阻害要因について考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、本研究の初年度であり、対象となる高齢者の基本情報を得るために、郵送調査を実施して、基本情報と、外出行動特性を把握する、また、外出目的地の確認など、次年度に向けた分析を実施したが、東日本大震災の影響により、研究対象者である高齢者の調査に対する興味に影響を受け、調査目的外の記述や、回答が多く、全調査票を読んで、有効票とするか確認が必要になり、その結果、データの入力までに時間を要して一次集計は終えたものの、多変量解析による結果因子の相互作用を確認するまでに至らなかった。また、同様の理由から自由記載欄の記述が3500件を上回り、この記載の判読、分類、集計に時間を要した。 その結果として、詳細な多角的分析の結果を反映させて次年度(24年度)の調査に活かすことを当初の目標としていたが、次年度は一次集計結果を用いた多変量分析から開始することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、初年度(平成23年度)の調査結果の分析を継続する。また、以下の研究を計画している。(1)初年度調査の回答者を対象に追跡調査を実施し、一年後の外出頻度の変化状況を確認する。外出頻度維持者、外出頻度改善者、外出低頻度継続者、頻度再低下者の特徴を把握する。(2)対象者宅を訪問し、外出阻害因子と外出に関する不安感の原因、外出に関する自己効力感(自信の程度)を把握する。また、対象者居住地区内の各種商業施設や医療機関、高齢者福祉サービス施設、地域活動拠点等を表示した地図を示し、活動概要と催事等を提示して、周知度、興味を示す外出目的の有無、及び、消極的理由、等についてヒアリングを行う。(3)郵送調査及び訪問調査の検討結果を元に、物理的因子(都市整備)、活動拠点(訪問目的地)、外出に対する不安感、居住習慣、等の分析結果をまとめる。 最終年度(平成25年度)は、以下の研究を予定している。(1)申請者が既往研究において試案を作成した訪問型・閉じこもり予防・支援プログラムを基に、物理的環境に関する情報提供、外出の動機付けとなる情報、外出に対する不安感の解消、等の情報提供を加えて修正版を作成する。さらに、閉じこもり高齢者の介護予防を担当する地域包括支援センターの職員に修正案に対する実施者からみたプログラムの利便性についてヒアリングを行い、再度修正を加える。(2)介護予防の対象となる特定高齢者に該当する閉じこもり高齢者・外出頻度低下者を訪問し、外出に関する居住地区内の高齢者向け情報の提供を行う。また、希望者を対象に申請者が本研究の結果を元に修正した「修正版・訪問型・閉じこもり予防・支援プログラム」を実施し、プログラム実施前後の外出行動及び外出に関する自己効力感(自信の程度)の変化を把握する。対象者群の比較により、実用化に向けた有効性を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査主体の研究であることから、研究費は主として調査費に充てる予定である。 郵送調査の自由記載欄の整理、分類作業にかかる人件費、と、訪問調査の調査員雇用にかかる費用、調査員研修、調査員交通費、対象者への謝礼、調査結果の整理と、データ入力作業、等を予定しているが、おおむね人件費として研究費より支出の予定である。 訪問時には、対象者の許諾があられれば自室内をカメラにより撮影することを計画している。狭い室内の撮影には、広角レンズ付きカメラが必要であり、数台の購入を予定している。また、対象者が高齢屋のため、ヒアリングではICレコーダーによる録音が必要となる可能性があり、この場合には、ICレコーダーの購入費用も研究費から支出する予定である。 また、高齢者の外出を促すため、居住地域の商業施設や外出に有効な情報、催し物情報などを記載したリーフレットの作成と配布を予定している。このリーフレットを本研究費で作成する予定である。
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Research Products
(2 results)