2013 Fiscal Year Annual Research Report
臨床へのフィードバックを目指した濃厚栄養剤の半固形化とその物性評価
Project/Area Number |
23500659
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
淺香 隆 東海大学, 工学部, 教授 (50266376)
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Keywords | 濃厚栄養剤 / 半固形化 / 摂食・嚥下障害 / 凝固剤 / ゲル化剤 / 粘度 / ずり速度 / テクスチャー |
Research Abstract |
平成25年度は、これまでの研究結果をもとに市販の濃厚栄養剤3種類(I:アイソカルRTU、M:メイバランス1.0、C:CZ-Hi)と市販の凝固剤3種類(A:介護食用寒天、G:ソフティアG、E:ソフティアENS)を用いて半固形化栄養剤を調製し、物性評価を行った。なお比較対象として濃厚栄養剤の代わりに水道水、および市販の半固形態栄養剤(Calmsolid400)を採用した。 胃ろう(PEG)患者に対する半固形化栄養剤の短時間注入法に関し、香川大学の合田は、『半固形化栄養剤の粘度はB型粘度計を用い、4rpmの条件において20000mPa・s以上であれば、下痢による脱水や胃食道逆流の防止に有用である』と提唱している。そこで、前述した条件で規定の粘度を満足しうる凝固剤濃度を調査した。 まず、基準となる水道水に対し前述した粘度(20℃)を満足しうる凝固剤濃度を調査したところ、Aは0.75%、Gは1.5%、そしてEは2.15%となることが判明した。これら凝固剤と濃厚栄養剤を組み合わせた場合の粘度は、介護食用寒天では水道水<M<I<C、GではM<C<I<水道水、そしてEでは水道水<M<C<Iの順に高くなることが判明した。また、濃厚栄養剤を基準とした場合の粘度は全般に、G<E<Aの順に高くなることが判明したが、水道水ではA<G<Eとなった。なお、市販のCalmsolid400の粘度はC+Eの場合と同程度(24Pa・s)であった。 これらの変化は、凝固剤や濃厚栄養剤に含まれる増粘多糖類やミネラル、タンパクの組み合わせが原因であり、特にキサンタンガムやグアーガムとカリウムやカルシウムが含まれる場合に粘度増加は著しく、一方、ペクチンが含まれると著しい粘度低下を来すことが研究結果から判明した。よって、介護施設や在宅において半固形化栄養剤の自己調製に際しては、その成分にも充分に注意を払う必要があることが示された。
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