2011 Fiscal Year Research-status Report
患者の内面に共感を誘起するロボットビヘイビアの生成と評価に関する研究
Project/Area Number |
23500662
|
Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
永沼 充 帝京科学大学, こども学部, 教授 (70319086)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 章光 帝京科学大学, 生命環境学部, 准教授 (20245591)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | ロボット / ロボットセラピー / ロボット介在活動 / アニマルセラピー / 高齢者 / リハビリテーション / 歩行訓練 / 脳血流評価 |
Research Abstract |
犬型4足歩行ロボット(Sony製品)と重心動揺計として用いるTVゲーム用バランスボード(任天堂製品)をハードウェアーとして利用し、これらと制御用サーバーを無線LANおよびBluetoothで結んだ歩行訓練用実験環境を整備した。この環境では被験者の1歩がロボットのn歩に対応するよう組まれている。機構部品として市販品を用いた理由は安全確認がされているため特養や老健などの公共施設での実施が容易であるためである。立位が保持できる入所者に対しては歩行補助器の中にバランスボードを置き、立位が保てない入所者に対しては車椅子の足乗せペダルの位置に置いた。試行結果では、自分とともにロボットが歩く、あるいは自らの意志でロボットを歩かせることができることから、歩行訓練に対する入所者の能動的な姿勢が観察された。ロボットを左右折させるためには空間認知能力の改善にも役立つと思われる。また、ロボットに対して生きている動物のように話しかけるが、会話内容の分析からは機械的なものとして感じている入所者が多いことが明らかになった。すなわち、生き物感を醸成するような何らかの共感が高齢者に誘起されたと考えられる。 一方、東日本大震災において、「こころのケア」すなわち「こころのリハビリ」の重要性が特に増したことに鑑み、「発達障害」の「子ども」や「認知症」を煩う「高齢者」のなどの社会的弱者に対して、「アニマルやロボットの代替補助療法をいかに用いるか」を様々な角度から検討した。特に、PTSDなどに対する対処は、早急な課題であることを認識し、IAHAIO等の場で福島の現状を報告するとともに、欧州におけるロボット・アニマルセラピーに関するミーティング・視察を行ない、欧米の研究者たちへの今後の援助を要請した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度計画のうち、(1)基本的実験環境の構築に関してはほぼ達成した。(2)評価システムの構築に関してもほぼ計画通りの進捗である。簡易型NIRS計測装置に関しては被験者の装着感を改良するために製造元に依頼してヘッドセットの改良を行った。H23年度は機動的な測定に習熟するため主として健常者に対して計測実験をおこなった。申請時計画予算額からの減額分は当初計画で予定していた通り耳たぶセンサーの導入を中止することで対処した。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初申請計画に沿って進めつつ、以下の2点について新たに項目に加えて推進する。(1)会話によるインターラクションの効果を明らかにするために小ぐま型ソーシャルロボットに代えてネットワーク接続型ロボットPalro(富士ソフト製)を導入する。ネットワーク上のサーバーとの通信により被験者別に作成したデータを対応させる。(2)戦時下のPTSD対処に関して動物を利用した実績のあるイスラエルなどの例を調査し、ロボットによるメンタルケアーの可能性を検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後の研究推進方策の(1)において言及したネットワーク接続型ロボットの導入費用はH23計画で準備したHOT121B改造費用および消耗品類経費の一部をH24に繰り越し充当する。その他は計画通り推進する。
|
Research Products
(11 results)