2012 Fiscal Year Research-status Report
患者の内面に共感を誘起するロボットビヘイビアの生成と評価に関する研究
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23500662
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
永沼 充 帝京科学大学, こども学部, 教授 (70319086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 章光 帝京科学大学, 生命環境学部, 准教授 (20245591)
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Keywords | ロボット / ロボット介在活動 / ロボットセラピー / アニマルセラピー / 高齢者 / リハビリテーション / 歩行支援 / 脳血流評価 |
Research Abstract |
当初計画で使用予定であった小ぐま型ソーシャルロボットが現場での機動性に難があったため、新たにネットワーク接続型会話ロボットPalro(富士ソフト製)を加えた。H23年度使用の動物型(AIBO)に対しヒューマノイド型であるが、ロボットの持つ身体性が動物であるか人であるかは大きな影響がないことが示された。会話が成立している(あるいは成立していると思っている)ことが重要な要素である。現状では高齢者が発する音声を十分に理解する音声認識エンジンは供給されていない。このため的外れな会話となることも多いが、多くの高齢者は自らこれを補完し対象とのコミュニケーションを維持する傾向が見られた。音楽要素も重要であり、歌詞がついた唱歌等がより効果的であった。ただし、言葉の意味よりも楽曲に付随する記憶からロボットに誘起される投影的な感情が作用していると考えられる。 一方、従来の研究が欧米志向であったことに鑑み、グローバルな視点からのロボットセラピーの可能性に関する検討も行った。具体的には、欧米以外の諸国で開催されたロボット・アニマルセラピーに関する視察・ディスカッション・シンポジウムに参加し、環境との関係性に関して重点的に討論した。その結果、特にイスラエルを含むアジア圏では欧米とは異なる関係性を有しており、欧米だけの視点でロボットセラピーを考えるのは無理があることが明らかになった。すなわち、文化的背景こそが、ロボットセラピーの一つのカギを握るという結論を得た。獣医療界における「獣医療→アニマルセラピー」という流れを先行例として「ロボット産業→ロボットセラピー」の流れを作ることが本研究の今後の展開には必須である。ロボットのハードウェアー開発ではなく、老人施設や小児施設などの現場における対象者とロボットあるいは介在者の関係性を含めたソフトの開発に基本的視点を置いている本研究の有効性を改めて確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度計画のうち①ロボットビヘイビアの制作と試行・評価に関しては、当初計画では非言語的コミュニケーションに重点を置く予定であったが、対象者の認知症の程度・介護度が軽い場合は言語的コミュニケーションが有効であることから言語的要素にも視点を置いて進めた。但し、意味内容の交換というよりは会話的なモードにあることが重要であり、この観点からは非言語的コミュニケーションと考えることもできる。②空間認識評価訓練に関しては、一部を平成23年度に前倒し実施したが、定量的な評価のために導入した脳血流評価装置を認知症高齢者に適用するにはさらなる工夫が必要である。そのために引き続き健常者を対象に使用法の工夫を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
当初申請計画に沿って進めつつ、本計画の全体をとりまとめる。研究成果発表とともに応用の視点からassistive technology関係分野への普及の道を探る。特に、先行しているアニマルセラピー分野への展開に関しては研究分担者の専門領域でもある利点を最大限に生かす。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画に沿って使用する。
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Research Products
(17 results)