2011 Fiscal Year Research-status Report
人工炭酸泉浴が身体の柔軟性を改善させ遅発性筋肉痛を軽減させる可能性の検討
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23500678
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Research Institution | Japanese Red Cross Hokkaido college of Nursing |
Principal Investigator |
山本 憲志 日本赤十字北海道看護大学, 看護学部, 准教授 (70299329)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 人工炭酸泉 / 血中乳酸濃度 / 筋硬度 / コルチゾール / 疲労回復 |
Research Abstract |
これまでの研究により、健常被検者の人工炭酸泉部分浴中には、浸漬部筋組織の血流量と酸素消費量が水道水浴中よりも大きい傾向を示すことが明らかとなった。また、下腿部のレジスタンス・トレーニング後の人工炭酸泉足浴では、硬度の回復が促進され、関節可動域が広がることを報告した。さらに、人工炭酸泉全身浴は心電図R-R間隔変動の周波数スペクトラム解析(HRV)から求めたHF領域(0.15~0.40Hz)のパワーを増加させ、副交感神経活動の亢進によるリラックス効果が期待されている。本年度は測定機器選定が難航したため当初予定していた血管弾性の測定を変更し、最大下強度で全身運動を行い、その後の人工炭酸泉全身浴が運動後のストレス軽減に貢献できるかを検討した。その結果、運動後の筋硬度は人工炭酸泉浴後が他の2条件と比較して有意に低下した(22.2±1.2 tone, p<0.01)。人工炭酸泉浴における血中乳酸濃度は空気中安静と比較して有意に低下した(4.3±1.6 vs 3.7±1.7 mmol・l-1, p<0.05)。運動後10分目の唾液コルチゾール濃度は空気中安静と比較して、水道水浴で24%低下、人工炭酸泉浴で48%と有意に低下した。HRVにおけるHF 成分には有意な変化は見られなかった。また、交換神経活動の指標である LF/HF成分は人工炭酸泉浴において他の2条件より低くなる傾向であった。これらの結果から、本実験条件下における最大下運動負荷後の人工炭酸泉浴が筋硬度の回復を促進し、被検者の疲労感を低下させる事を示した。また、ストレスの指標である唾液中コルチゾールが人工炭酸泉浴で有意に低い値となった。同時に血中乳酸濃度も人工炭酸泉浴で有意に低くなり、運動後の人工炭酸泉浴が疲労回復、ストレス軽減に貢献する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はCardio Ankle Vascular Index(CAVI)による炭酸泉浸漬部の血管弾性の検討を行う予定であったが、血管弾性の測定機器が近年さまざまに開発され、、本年度の購入を断念した。そこで、3ヵ年目に実施予定であった全身運動後の疲労回復効果について検討を行った。これらの状況により、進捗状況はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
炭酸泉浴の効果は、その科学的根拠の不足から、特に医療分野での応用が進んでいない。実験科学的手法による詳細なメカニズム解析とそのエビデンスの欠如により温泉浴を正規の療法として受け入れがたい物としているように思える。本研究は、天然炭酸泉浴の効果として知られる現象を、炭酸ガス濃度はもちろん、温度や含有物も制御可能な人工炭酸泉作成装置を用い、被検者で効果の再現性を確認し、効果の実証とそのメカニズムの解析を可能にする実験系を確立しようとするものである。浸漬部の筋で血管弾性効果や筋硬度低下のメカニズムなどが解明されれば、全身的な柔軟性改善への応用も期待できる。これらの検討課題について着実に実験を積み重ねデータを蓄積していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は血管弾性、誘発筋電図の測定を実施する予定であり、それら測定機器の購入を予定している。さらに国内、国際学会での成果発表を行う予定である。
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Research Products
(6 results)