2011 Fiscal Year Research-status Report
男女必修ダンスのモデル教授法開発-初心指導者に焦点化して-
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23500686
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
高橋 和子 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (10114000)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 中学校ダンス男女必修化 / モデル教授法 / 教材選択 / ダンス技能 / 男女共習の授業スタイル |
Research Abstract |
2012年から中学校保健体育1,2年男女のダンス必修化が完全実施された。メディア等の報道では小中学生もヒップホップだけを踊るという誤った報道がなされている。そのような現状の中、特に指導が難しいとされている創作ダンスを中心に、初心指導者が行った全国大会や県指定での授業(北九州市・新潟市・花巻市)を対象に、(1)初心指導者が選択する教材の特徴、(2)指導の共通点と課題を探り、モデル教授法の開発の一助とすることを目的とした。 単元計画・指導案・授業者や指導主事などへの聞き取り調査を分析した結果、教材入手は文科省の解説や(社)日本女子体育連盟や学校体育連合会などの講習会をヒントにしていること。授業スタイルは既習のリズム系ダンスで心身をほぐし、習得すべき技能が明確な教材を選択していること。授業規律やマネージメントをしっかり押さえた上で、生徒が何を学び、どんな技能を身に付ければ良いかの指針が提示されていることがわかった。初心指導者の課題としては、表現したいテーマやイメージが優先されるのではなく、運動の技能に目がいきがちな指導がなされていること。ダンス技能を明確に押さえる必要があること。男女共習の授業スタイルに慣れることやグルーピングの工夫などがあげられた。これらの点を解決する典型教材の精選や指導法の工夫が必須である。 なお、本研究者が全国大会での指導助言者に指名された為、この機会を生かし、平成24年度の実施計画を23年度に移し実施した。それに伴い、23年度に計画していた「3つの指導スタイルの有効性の検証」は、指導実践の収録に留め、分析は平成24年度に行うことにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に計画していた一つ目の事項は、「熟練ダンス指導者の3つの指導スタイルの共通点と差異の明確化」である。これを明らかにするために、指導場面の映像を入手した。2名の指導者については、『新ダンス授業講座DVD』(ユニバース発刊:2010)である。また、もう一人の指導者については、Y大学の集中授業を撮影した。この結果、分析する材料がそろったと言える。ただし、指導スタイルの共通性と差異の検討は次年度に持ち越された。 ニつ目の事項の「研究成果の収集」については、文部省学習指導要領に提示された「対極の動きの連続」の教材を、全国規模の研修会などで指導者や教員養成系の大学生に提示し体験した結果から、中学生にも援用できると考えられ、その成果を確認した。このことは、平成24年度に計画していた「気軽に踊れる・指導できるダンス教材の選定」を先行して実施したことになる。また同時に、「初心のダンス指導者」にとって、技能や知識が指導者に定着しやすい典型教材を選定することについても、中学生に初心ダンス指導者3名が授業実践を行った。また、小中の接続の企図により、小学校教員にも表現運動の授業実践を行っていただき、指導の留意点を洗い出した。 また、諸外国の資料の収集の一つであった、ボディ・マインド・センタリング創始者(以下BMCと略す)ボニー・コーヘン(米国)への取材は本人の都合がつかず、平成24年度に持ち越された。 以上の理由から、研究の目的は「おおむね順調に進行している」と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に計画していた「気軽に踊れる・指導できるダンス教材の選定」については、平成23年度に先行して3名の中学校教員(初心ダンス指導者)に実施したが、24年度は新たに指導者を増やして実施予定である。具体的には、6/13日に横浜市立T小学校教諭20名、6/15日に関東地区私立小学校教諭20名、8/19日全国研修会受講の小中学校教諭各20名、8/27日Y大学主催ダンス講習会受講者50名に対して、技能や知識が定着しやすい典型教材を選定し実践する。その結果から、有効な教材や指導法を選定し、「モデル教授法のパッケージ化」をするための映像化を図る。 また、BMC創始者のボニー・コーヘン(米国)への取材は、5/12,13日に開催される国際シンポジウム「Body Workと身心統合」に参加し実施することとし、有効なダンス教材の収集を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
モデル教授法のパッケージ化を図るためのソフト購入などの物品費。授業実践や国際会議に出席のための旅費。授業の映像撮影やDVD作成、収集した資料の整理や分析を行うための謝金等が必要になる。
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Research Products
(10 results)