2012 Fiscal Year Research-status Report
連続写真の観察に基づいて運動経過を把握する能力に関する研究
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23500695
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
野田 智洋 高知大学, 教育研究部医療学系, 講師 (00218330)
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Keywords | 体育科教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は、実技教科書に掲載されている連続写真のコマ数の多寡やコマ割りの仕方などが運動経過を把握する能力に与える影響について検討し、どのような連続写真を掲載すれば学習者が理解し易いかを判断するための基礎資料を提供することである。申請者らは平成21年度までに、小1から高1までの一般児童・生徒の協力を得て、鉄棒運動の連続写真①(機械的なコマ割りによるコマ数の多い連続写真)、連続写真②(同じくコマ数の少ない連続写真)と動画映像の識別課題を行わせ、連続写真のコマ数は多い方が有効であることを明らかにした(野田ほか, 2008)。また、小3と中1の一般児童・生徒を被験者として同じ技を連続写真③(体操競技の専門家が初心者に運動経過を把握させるために最適だと考えるコマを選んで作成した連続写真)と動画映像という2種類の提示方法で観察させ、記憶した技の運動経過を紙人形の操作によって再現させる実験を行った。その結果、課題の平均得点は小3の場合には動画映像を提示した群が、連続写真を提示した群に比べて有意に高かったが、中1においては有意差が認められなかった(野田ほか, 2009)。 本研究では、小3と中1に連続写真①②③を観察させ、記憶した運動経過を紙人形の操作によって再現させることによって、①コマ数の多寡は再生課題の得点にどのような影響を与えるか、②専門家のコマ選びは機械的コマ割りと比較して再生課題の得点にどのような影響を与えるか、③被験者の年齢は①と②の要因についてどのような影響を与えるか、を明らかにする。 実験の結果、①コマ数の多寡は再生課題の得点に有意な影響を与えないこと、②専門家によるコマ選びも、機械的コマ割りとの比較で有意な影響を与えないこと、③学年×群の交互作用が認められなかったことから、被験者の年齢は①と②の要因に対して有意な影響を与えないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験は、2012年6月1日から10月18日までの間に、被験者が所属する学校で準備された実験室(空き教室、同窓会室)に1名ずつ入室させて行った。各群の得点平均値に統計学的な有意差があるかどうかを検定するため、被験者の年齢(学年)×連続写真のコマ選びの違い(群)×技の運動構造の複雑さ(技)を独立変数とする3要因分散分析(混合計画)を行った。 その結果、1)コマ数の多寡は再生課題の得点に有意な影響を与えないことが明らかになった。2)専門家によるコマ選びも、機械的コマ割りと比較して再生課題の得点に有意な影響を与えなかった。3)分散分析の結果、学年×群の交互作用が認められなかったことから、被験者の年齢は1)と2)の要因に対して有意な影響を与えないことが明らかになった。 研究成果を平成25年3月27日に筑波大学で開催された第26回日本スポーツ運動学会で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は当初の計画通り、研究成果の発表を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学会発表のため、旅費として使用する。また、論文を投稿し、別刷り印刷費用として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)