2014 Fiscal Year Research-status Report
高齢者剣道愛好家が生きる力として獲得している積極的応答動作の解明
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23500705
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
村田 俊也 金沢工業大学, 基礎教育部, 准教授 (80270255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋爪 和夫 富山大学, 人間発達科学部, 教授 (80189472)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 剣道 / 剣道高段者 / 高齢者 / 身体教育学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、7段以上の段位を有する剣道愛好家が高齢者となっても維持している高次脳機能を積極的応答動作の手法を用いて明らかにすることである。研究代表者は自らを被験者として有資格のある剣道愛好家である。本年度は研究代表者を被験者として2領域の研究を行った。 研究代表者は剣道8段位高齢者と剣道を行い、両者の剣道の技、動き、勝敗等についての内省記録を収集した。そして、その内省のまとめとして、実験室実験における反応動作研究プログラムを研究分担者とともに立案して以下の実験を行った。 ①被験者は研究代表者(剣道7段)であった。②被験者の動きのパワーや時間をフオースプレートで測定した。③被験者の動きをVTR録画記録からバイオメカニクス的に解析(DKH社製フレームディアス)した。④被験者はフォースプレート上で正面打撃の有効打突(一本)を取得する打撃を行った。この正面打撃を剣道の「先先の先の動き」と名義した⑤被験者は単純刺激反応時間(用意の合図の後にランダムに点灯する光ダイオードを合図として一本を取得するための正面打撃を行う)を測定した。この正面打撃を剣道の「後の先の動き」と名義した。⑥被験者は剣道具を装着した相手に一本を取得するための正面打撃を行った。この正面打撃は剣道の「先先の先の動き」と同じ名義の動作である。⑦被験者は剣道具を装着した相手の面の横に設置した発光ダイオードの点灯で一本を取得するための正面打撃を行った。この正面打撃は剣道の「後の先の動き」と同じ名義の動作である。以上の測定結果を被験者が予測する床反力の測定結果や身体の動きの内省と照らし合わせた。 本年度の実験結果から、剣道の「先先の先」と「後の先」の動きで、被験者によって同じようにできていると内省された動きであっても、相違点があることがわかった。そして、その相違点はすぐにフィードバックできることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
剣道高段者の反応動作特性を検証してまとめるための実証に遅れがあった。研究代表者が実際に剣道高段者・高齢者である8段剣士との剣道実践をとおして、研究仮説を実証するための実験プログラムを立案することに時間を要した。本年度のデータ収集で研究仮説のための実験プログラムは一応立案することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、反応時間や反応動作の運動生理学的手法を主な背景として研究計画を立案している。実験においては、予告スイッチから反応シグナルまでの時間を被験者が知っている場合とランダムな時間に設定された場合の遅延特性から、「読みや勘」あるいは、仕掛けた技や応じる技の仕組みを想定して計画された空間と時間を設定している。また、日常的に対人競技を行っている柔道選手、反応時間に関係しない修練を行っている弓道選手を対象として、反応時間や応答動作を解明する。当初計画にあった陸上競技選手は、武道特性を有しないこと、対人の動きというよりも、音のみに反応する特性であることから、対象者から除くこととする。また、発声を伴う場合と伴わない場合の反応動作については剣道の被験者についてのみ行うこととする。
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Causes of Carryover |
本年度予定していた学会発表のための旅費が日程が合わないために使用できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年の繰越金は学会発表のために使用する予定である。
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