2015 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者剣道愛好家が生きる力として獲得している積極的応答動作の解明
Project/Area Number |
23500705
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
村田 俊也 金沢工業大学, 基礎教育部, 准教授 (80270255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋爪 和夫 富山大学, 人間発達科学部, 教授 (80189472)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 剣道 / 高齢者 / 反応時間 / 身体教育学 / 武道学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、剣道愛好家高齢者の中でも7段位以上の高い段位を有する剣道家が高齢者となっても維持している高次脳機能を明らかにすることである。23年度は研究課題の仮説を明確にした。日本武道学会で剣道の教えにある「先先の先・先の先・後の先」をいかに反応動作の理論で説明できるかという発表を行った。発表では、剣道の技能は単純な反応動作ではなくて、勝者は仕掛け(刺激)によって敗者の動作を引き起こすという準備動作を行い、相手の反応動作を誘発し、その後の打撃動作によって勝利を得るという一連の運動制御過程を発表した。この発表により、本研究の当初計画書や23年度交付申請書にある他種目の高齢競技者の反応動作との比較研究よりも、剣道の高段者の動きの解析に焦点を当てる方向性への転換を決定した。24年度は、前年度の発表にあった「剣道の教えの脳内機序に関する仮説の作成研究」が剣道の動きのどの場面で説明することができるかについて資料を収集した。剣道高段者の動きは、日本剣道形にある打太刀と仕太刀が協働動作として行う気持ちが大きな役割を果たしているという結論を導いた。25年度は動作分析ソフトによる動作解析と床反力データによるパワー解析が同期できる環境を整備した。26年度は本研究の仮説を実証するための実験を行った。自発的正面打撃、光刺激反応としての正面打撃、後の先としての出頭面打撃を主に解析した。最終年度である27年度は、前年度の研究から新たな課題となった、打撃前の準備動作の変化の妥当性の検証を心理学的側面から研究した。剣道家が上位者・同等者・下位者に対応するときの気持ちの変化が技術に及ぼす影響を研究した。本研究により、剣道高段位者の安定した技能は心理面の安定が打撃前動作の安定を確保し、刺激動作を創出することで一見したところ予測反応時間と受けとめられる動きを,実は積極的応答動作としていることが解った。
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