2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500711
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
木島 章文 山梨大学, 教育人間科学部, 准教授 (10389083)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 歩行 / 視知覚 / 個人間協応 |
Research Abstract |
本年度の達成目標は,視線方向を拘束しながら2者の連携を操作する実験系を作成することであった.これにあたりまず,歩行制御に関する先行研究をあたり,視覚を始めとする感覚入力がステップ動作に対してどの程度の時定数で作用するか検討を加えた.その結果,任意のステップ(t歩目)において移動方向に外乱を与えるためには,少なくともt-1歩目の接地時点で何らかの感覚入力を与える必要があることがわかった.次にヒトの個体間協応に関する力学系研究を概観し,与える入力としてどの様相が妥当であるかを検討した.その結果,周期運動において2者の視線を互いの身体に定位させると,両者の動作に時空間的引き込みをもたらす可能性が高いことがわかった.これらの結果より,足底に設置したセンサの出力を引き金に相手の身体に付着させた発光ダイオードを発光させる器材を設計した.当初はセンサとして加速度計を用いたが,試作器の動作に誤動作が多く含まれることがわかり,現在はこれを圧センサ(ひずみ計)に変更して改造している段階である.結果として当初予定していた器材の完成にまではいたらず,最終的には光学的な動作測定に加えて生体信号(主に筋電図)を測定するに足る器材を導入し,来年度の実験に備える状況となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
器材のデザインに充分な時間をかけることができたため,来年度の実験においては,当初の計画より効率的に測定作業が進むとみられる.また解析ソフトの機能を拡充したことにより,より具体的かつ詳細な変数を計算できると思われる.この利益は,本年度の器材作成の遅れを取り戻すに充分な内容といえる.
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Strategy for Future Research Activity |
さしあたって来年度は実験実施を最優先する.数歩のすれ違いを測定できる実験室が所属先に得られた意義は大きく,まずは詳細なパラメータ操作を施し,大学生を対象に視線方向に応じた連繋パターンの崩れを測定,解析する.この結果をもとに,より簡易な視線拘束の器材を開発し,子どもや高齢者を対象とした追実験を行う.一連の取り組みを通して,個人間協応の仕組みを土台にで日常歩行を捉える研究枠組みを提案し,実生活に本質的な年齢間の歩行の機能差を提案する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
器材作成ならびに実験参加者に対する謝金に額を割くことを優先し,その残を連携研究者との議論または学会発表に係る旅費に充てる予定である.なお前年度の残額は当初予定していた細かな器材(複数LEDを発光させる回路)の作成にかかる代金である.前年度にこの作成にまで至らなかったため,本年度においては当該金額を用いて器材の作成を行う.
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