2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23500711
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
木島 章文 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (10389083)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 協応 / 自由度 / 空間の幾何学形状 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず2者に対面でトレッドミル上を歩行させ,注視方向が両者の左右遥動の行為連携に与える効果を確認した.しかし注視条件間に組織的な差異を認めるまでには至らなかった.次に離れた位置で2者を対面させ,そこから互いに2歩接近してすれ違いを行わせた結果,互いに異なる側の脚から歩き出すと,すれ違いに遅れが見られることを確認した.このことはつまり,行為者の身体構造に内在する自由度の制約が,すれ違いの形を制約することを示している. 次に外部空間の幾何学形状がすれ違いに与える効果を確認するため,2者の移動方向を組織的に制約する実験を行った.2者の自由度が平等に配置されると,ほぼ同時に,衝突することなくすれ違うことができた.しかし自由度が2者間で異なると,わずかながらすれ違いの動作開始に時間ずれが見られた.このことから,我々が不意に経験する「互いに通せんぼ」現象の仕組みは,移動を制御する知覚系ではなく,我々の身体と協応空間の3次元幾何学構造に制約されて創発する連携パタンであると考えた. 最後に2者のすれ違い課題を拡張し,外部空間に対して行為者が持つ自由度が3者の連携に与える効果を検討した.3者の空間自由度を平等に割り振ると,2者課題の結果と同様,3者がほぼ同時に位置を交換できることがわかった.次に自由度を不平等に配分すると3者間に極めて短時間(0.1 s)な遅れが組織的に見られた.このとき3者の動作を両脚跳びに制限し,身体構造に内在する自由度を相殺していた.よってこの効果は外部空間の幾何学的対称性と実験者の指示(全員がどちらかの方向へと,1ステップ,同時に跳ぶこと)に規定される行為者の位置関係の対称性から,その共通部分群において回転対称性が保たれた場合に時間を生じることなく3者の位置が交換されると考えた.そしてそれが保たれない場合に行為者の位置関係が破れ,結果として時間ずれが生じると考えた.
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