2014 Fiscal Year Annual Research Report
プロスポーツの地域受容プロセスにおける、「地域密着」の概念と機能の再検討
Project/Area Number |
23500714
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中島 信博 東北大学, 教育学研究科(研究院), 名誉教授 (80005826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松野 将宏 横浜市立大学, 総合科学部, 准教授 (00386666) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 地域密着 / プロスポーツ / ステークホールダー / 地域資源 / 行政 / 民間企業 / 支店経済 / 市民運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「プロスポーツの存続と発展が、『地域密着』という価値を組織が取り込み、地域に受容されるプロセスに規定される」という仮説からスタートしている。そこで当初は、1.地域固有の社会的文化的要因に着眼し、「地域密着」の概念を再定義するため、地域における制度的認知的要因を解明することと、2.「地域密着」の正当性が認知されるメカニズムを考察する計画であった。 研究の具体的な方法としては2点を掲げていた。1.Jリーグベガルタ仙台の設立当時に、ステークホールダーが知覚していた制度的・認知的要因を明らかにし、地域固有の意味づけを考察する。2.プロ野球東北楽天イーグルスについて、地域に受容されるメカニズムを解明する、というものである。 以上の計画を実施するため、研究代表者は、ベガルタ仙台の設立当時に焦点をあて、関係者への聞き取り調査と、関係資料やドキュメントの収集を継続的に行った。また、研究分担者は、新聞記事の内容分析を中心として進め、1970年代末から近年の新聞記事データベースを利用した。これにより、「地域密着」という概念は、特定のトピックスと結びついて集中的に使用される時期と、産業、業種、分野に分散して使用される時期を繰り返すことにより、広く社会的に普及していったことが明らかとなった。 しかし研究期間の最終年度に、研究代表者が定年退職をむかえ、所属機関を変更したことや、加えて研究分担者が研究職を辞する事態が重なり、やむなく研究期間の延長を申請し承認された事情があった。 最終年度では事例をベガルタ仙台に絞り、質的データによって、より実態に則した分析を行った。さらには、サッカーの指導者との研究会も開催して、最新の「地域密着」概念を現場から問うこともできた。ベガルタ仙台の場合、地域の制度的な要因に関連して、「第三セクター」的な「地域密着」に収斂したことが明らかとなった。
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