2013 Fiscal Year Research-status Report
中・長距離走におけるレース中の生理応答とパフォーマンスの関係
Project/Area Number |
23500720
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鍋倉 賢治 筑波大学, 体育系, 教授 (60237584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 靖士 筑波大学, 体育系, 准教授 (90379058)
門野 洋介 仙台大学, 体育学部, 助教 (20601016)
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Keywords | 中長距離走 / マラソン / 走の経済性 / 乳酸性代謝閾値 / 最大酸素摂取量 / 脂質代謝 |
Research Abstract |
長距離走では、最大酸素摂取量、乳酸性代謝閾値(LT)および走の経済性の3要因によってパフォーマンスの7割程度を説明できると言われている。しかしながら、長距離走には10分未満で終了するトラック競技から、マラソンのように数時間に及ぶ競技まで多岐にわたる。5000m走(約15分)の場合、相対運動強度は最大酸素摂取量の100%近くに達し、レース中盤の速度変化やラストスパートを考慮すると、有酸素性エネルギーだけではなく、無酸素性エネルギー代謝の貢献も無視できない。一方、フルマラソンのように、莫大なエネルギーを要す運動では、脂質代謝の重要性が高まり、その能力の優劣がパフォーマンスを決定するといっても過言ではない。 そこで本研究では、中・長距離走レース中の生理応答と縦断的な体力測定を通し、レースや対象者の能力に応じたトレーニング課題、効果的なトレーニング法について提案することを目的とし、平成25年度には、下記の結果を得た。 1)特に高強度における走の経済性の評価とパフォーマンスの関係性について検討した。LT以上の強度になると、無酸素性エネルギー代謝の貢献が大きくなる。そのため、運動によって生成された血中乳酸値から無酸素性エネルギー消費量を評価し、呼気ガスパラメーターから算出した有酸素性エネルギー消費量を加えて、総エネルギー消費量を計算し走の経済性を評価し、呼気ガスだけから評価した走の経済性より有用である可能性を明らかにした。 2)ランナーの脂質代謝能力を明らかにするために、漸増負荷運動中の脂質酸化量を測定し、強度に対する脂質酸化動態を評価した。これをサインカーブにフィッテングすることによって、個人の脂質酸化能力を定量的に評価し、優れたランナーは、絶対強度はもちろん、相対強度でもより高強度において脂質が酸化されることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに、この課題に関連する原著論文が2本採択され、学会発表を8本行なっている。そのうち平成25年度には、学会において3件(ランニング学会、日本体育学会、日本体力医学会)の研究発表と、招待講演(パネルディスカッション:ランニング学会)を行った。 しかし、研究全体の統合性にやや欠けている点があり、特に実際のレース(模擬レース)中の測定は、800m走については行なえたものの、より長距離での測定は、まだ行えていない。これについては文献データや、トレッドミルのデータで補完するとともに、最終年度にも検討していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
上記したように、最終年度の平成26年度には、レース中の生理応答について、文献データだけではなく、実測から得るために、レースを模した実験運動中の生理応答を評価すること、平成25年度に明らかにした脂質代謝能力の評価法を用い、ランナーの脂質代謝能力、朝練習などの様々なトレーニング時の脂質酸化動態を明らかにし、中長距離走における効果的なトレーニング法を科学的に実証し、学会等で発表・報告していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末の学会発表の出張旅費(大阪、ランニング学会)として計画していたが、旅費経費として足りないため、大学の運営交付金によって旅費を執行したため。 最終年度の測定における消耗品として使用予定である。
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Research Products
(4 results)