2012 Fiscal Year Research-status Report
競技力に反映される最適覚醒水準モデル構築に向けた精神生理学的研究
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23500731
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
星野 聡子 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (80314524)
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Keywords | 精神生理学 / 情動 / 覚醒水準 / 快・不快 / 競技力 / 生理応答 / 競技ストレス |
Research Abstract |
本申請研究は、スポーツの競技ストレス事態下において選手がどのように「挑戦的でやる気をもって立ち向かえているか」という思考過程に着目し、この思考過程の状態を反映する種々の生理指標の振る舞いについて「覚醒」および「情動(快・不快)」の観点から説明することを試みることを目的としている。 今年度は種々のスポーツ種目を対象とすることを計画し、スポーツ種目を超えて、最的覚醒水準モデル構築に向けた精神生理学的実験を行った。対象スポーツ種目に卓球、ダーツ、トライアスロンを加え、競技ストレスを操作することで精神生理学的に捉えることを試みた。生理指標には心電図、連続血圧、呼吸、脳内局所酸素動態、瞬目活動、眼球運動を測定し、ストレス事態下での生理指標の振る舞いについて、情動(快・不快)や覚醒、達成見込み、種々の気分状態、主観的運動強度などとの関係から考察した。 申請時での24年度計画では、フィギュアスケート選手を対象とした演技プログラムに対する競技ストレスとパフォーマンスの関係について、非侵襲的手法による生理的データを収集して、生理応答に内在する心理要因の抽出する分析をすすめる予定であった。しかしながら、対象としていた選手の故障や進路変更により協力を得られないままになった。また、生理指標としてあげていたバイオマーカーについては測定値変動が大きいため信憑性が低く、生理指標から除いた。 実施した実験の結果は、日本体育学会第63回大会(東海大学)、the International Conference on “Youth, Technology, and Health”(Hong Kong) 、第31回日本生理心理学会大会(25年5月発表)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フィギュアスケート選手対象の結果を得られなかったこと。 種々の実験を行うことで、大量の測定データを得られた。しかしながら、被験者を平均して捕らえるに留まっている。個々の選手に着目し、個人の情動・覚醒水準の変動について詳細に検討すべき貴重なデータである。これらのローデータを丁寧・詳細に分析することが今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は、競技種目にバレーボールおよびサッカーを加え、ストレス事態を得点の重みやチームプレーの社会的状況の点から操作した実験を重ね、最適覚醒水準モデルの資料とすることを計画している。 また、これまでに測定収集してきた生体情報についても分析を重ね、丁寧にデータ処理を進めることを計画している。 最終年度であることから、研究成果のアウトプットにも努めなければならない。 国際学会、国内学会(日本体育学会)での発表を予定するとともに、学術雑誌への投稿を計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画していたものののうち、愛知県のフィギュアスケート選手の調査が実現不可能となったこと、および、生理指標として唾液摂取を計画していたが指標の不適切さから除外したことから、調査旅費、被験者謝金、バイオマーカー分析について減額使用となり、未使用額が生じた。 今年度は、被験者・データ分析補助員の雇い上げ費用、研究成果のための国際学会(International Sports Science & Sports Medicine Conference)および、国内学会(日本体育学会、日本生理心理学会)参加の旅費、調査旅費(名古屋フィギュアスケート選手調査のための調査旅費)および、翻訳校正費用、報告書作成費用に、昨年度の未使用文をあわせて使用することを計画している。
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Research Products
(10 results)